シャー・ペイ

シャー・ペイ：しわが魅力的な中国原産の犬種

シャー・ペイは、中国南部を原産とする独特な外観を持つ犬種です。その名前「沙皮」は「紙やすりのような皮膚」や「荒い砂のような被毛」に由来すると言われています。古くは牧羊犬、番犬、そして闘犬として活躍していましたが、現在は家庭犬として世界中で愛されています。

歴史

シャー・ペイの起源は定かではありませんが、チベタン・マスティフやハン・ドッグが祖先ではないかという説があります。かつて中国では闘犬として人気を博しましたが、ヨーロッパから大型の闘犬が輸入されると、次第に人気は衰退しました。さらに、中国が共産主義体制になると、犬の飼育が西洋の退廃した習慣とみなされ、多くの犬が殺処分されるという苦難の時代を経験しました。しかし、香港や台湾のブリーダーたちの尽力により、絶滅の危機を乗り越え、1968年には香港ケネルクラブに犬種として認定されました。

1978年にはギネスブックで「世界で最も珍しい犬」として紹介されましたが、その後、アメリカのブリーダーたちの目に留まり、そのユニークな外見が評価され、数を増やしていきました。

特徴

シャー・ペイは中型犬に分類され、体高は46〜51cm、体重は18〜23kg程度です。子犬の頃は特に皮膚のたるみが目立ちますが、成長するにつれて独特のしわを持つようになります。短くザラザラとした硬い被毛を持ち、ブラック、レッド、フォーン、クリームなど、様々な毛色が見られます。

頭部の小さな三角形の耳は前方に垂れ、尻尾は巻いています。口吻は中くらいの長さで、付け根から鼻先にかけて幅広く、先細りにならないのが特徴です。

シャー・ペイの皮膚のしわは、真皮を形成する際の酵素の異常が原因であることが、研究によって明らかになっています。この遺伝子変異が原因で、皮膚病にかかりやすい個体も存在します。

性格は、プライドが高く、警戒心が強い一面もありますが、信頼した相手には忠実で愛情深く接します。家族に対しては朗らかで愛情深い一面を見せるでしょう。

派生犬種

シャー・ペイには、愛玩犬として改良された以下の派生犬種が存在します。

ミニチュア・シャー・ペイ: シャー・ペイを小型化した犬種で、アメリカで作出されました。
オリエンタル・シャー・ペイ: ミニチュア・シャー・ペイの健康状態を改良するために、パグを交配させて作出された犬種です。こちらもアメリカ原産です。

シャー・ペイはその独特な外見と、困難な時代を乗り越えてきた歴史を持つ、魅力的な犬種です。飼育を検討する際は、遺伝的な皮膚疾患のリスクを考慮し、信頼できるブリーダーから迎えるようにしましょう。

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