シュッピルリウマ1世

シュッピルリウマ1世の生涯と業績

シュッピルリウマ1世（Šuppiluliuma I）は、紀元前1355年頃から紀元前1320年頃まで在位したヒッタイトの大王であり、政治の混乱を収め、大国としての基盤を築いたとされる。

治世の背景と出自

シュッピルリウマ1世は、前王トゥドハリヤ2世の子であり、サムハを拠点に北方のカシュカ族や東方のハヤサと戦い、その戦功によりヒッタイトの王宮を復興した。兄トゥドハリヤ3世の即位後、彼は陰謀を企てこの兄を殺し、自ら即位することとなる。即位後は国内を安定させ、周囲への遠征を通じてヒッタイトの復興に注力した。

外交戦略と領土拡大

彼の統治下で、ヒッタイト王国は著しく拡大した。最初はアルザワ地方を攻撃し、ミラ国の王に娘を嫁がせることで同盟を強化。その後、ハヤサの君主に妹を嫁がせ、さらに勢力を拡大していった。シュッピルリウマの巧妙な戦略によって、ヒッタイトの領土は三倍に増え、エジプトに次ぐオリエントの大国へと成長した。

ミタンニとの戦い

シュッピルリウマ1世は、ミタンニに対しても攻撃を行ったが、最初の戦は失敗に終わった。その後、交易都市ウガリットを掌握し、バビロンとの同盟を結ぶことでミタンニに圧力をかけ、再度攻撃を仕掛けることとなる。彼はフルリ人の国家イシュワを攻略し、さらにはミタンニの首都であるワシュカンニを目指した。

エジプトとの関係

エジプトとの関係においては、アムル王国を通じて圧力をかけ、ヒッタイトの宗主権を認めさせることに成功した。そして、エジプト王アメンホテプ4世（後のアクエンアテン）の未亡人との縁談を持ちかけたが、その王子ザンナンザが暗殺されてしまう。この事件はシュッピルリウマ1世を激怒させ、エジプトへの侵攻を決意させるきっかけとなった。

疫病と死

しかし、エジプトとの戦争中に発生した疫病によって、ヒッタイトは大きな打撃を受けた。この疫病は多くの貴族や王族を襲い、シュッピルリウマ1世自身も病に倒れ死去する。その後、息子アルヌワンダ2世が王位を継いだものの、彼もまた疫病によって短命を余儀なくされる。結局、ムルシリ2世が即位し、シュッピルリウマの業績が後世に伝えられることになった。

まとめ

シュッピルリウマ1世の治世は、ヒッタイト王国の中興の基盤を確立した時代とされ、彼の戦略や外交は後の世代に大きな影響を与えた。彼の統治をもってヒッタイトの新王国時代が始まると位置づけられ、その業績は今なお歴史の中で大きな意味を持ち続けている。

もう一度検索