シュトルーヴェの測地弧

シュトルーヴェの測地弧

シュトルーヴェの測地弧は、19世紀にドイツ出身のロシアの天文学者フリードリヒ・フォン・シュトルーヴェが中心となり、1816年から1855年にかけて子午線弧長の三角測量のために設置された一連の三角点群です。このプロジェクトは、地球の形状と大きさを正確に測定することを目的としており、当時としては画期的な試みでした。

歴史的背景

シュトルーヴェの測地弧は、科学的な地球測定の歴史において重要な位置を占めています。このプロジェクト以前にも同様の試みは存在しましたが、シュトルーヴェの測地弧は、その規模と精度において群を抜いていました。シュトルーヴェは、広範囲にわたる測量点を設置し、それらを正確に結びつけることで、地球の形状をより詳細に把握しようとしました。

測量点

当初、265か所の測量点が設置されましたが、そのうち34か所が2005年にユネスコの世界遺産に登録されました。これらの測量点は、北は北極海に面するノルウェーのハンメルフェストから、南は黒海に近いウクライナのスタラ・ネクラシウカまで、約2,800kmにわたって広がっています。測量点の多くは自然の岩や人工的に設置された岩に印をつけたもので、その中には、フィンランドのアラトルニオ教会やエストニアのタルトゥ旧天文台のように、現存する建造物が利用された場所もあります。

世界遺産登録

シュトルーヴェの測地弧は、10カ国にまたがる珍しい物件であり、設置当時はスウェーデン＝ノルウェーとロシア帝国の2国にのみ存在していました。この測地弧が世界遺産に登録されたのは、以下の3つの基準を満たしているためです。

(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
シュトルーヴェの測地弧は、19世紀の科学技術の発展を示す重要な例であり、国際的な科学協力の先駆けとも言えます。
(3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
測地弧は、当時の測量技術や科学的知識を今に伝える貴重な遺産です。
(6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの（この基準は他の基準と組み合わせて用いるのが望ましいと世界遺産委員会は考えている）。
シュトルーヴェの測地弧は、地球科学の発展に重要な貢献をした出来事に関連するものであり、普遍的な意義を持っています。

その他の情報

モルドバにあるRudiの測量点は、同国で唯一の世界遺産です。

関連情報

子午線弧
* 天文遺産

外部リンク

ユネスコによる解説 (登録地点のリスト・地図併録)

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