シュプリンガー・ネイチャー

シュプリンガー・ネイチャーについて

シュプリンガー・ネイチャー（Springer Nature）は、ドイツとイギリスに本社を構える学術出版の大手企業です。世界中の研究者や学者をサポートするため、数々の専門的な雑誌や書籍を出版し、2019年には約17億2000万ユーロの収益を上げるなど、巨大なビジネス規模を誇っています。

歴史

シュプリンガー・ネイチャーは2015年に設立された企業で、ホルツブリンク出版グループが持つネイチャー出版グループ、パルグレイブ・マクミラン、マクミラン・エデュケーションの3社と、BCパートナーズが持つシュプリンガー・サイエンス・アンド・ビジネス・メディアが合併して誕生しました。合併の計画は2015年の1月15日に初めて発表され、同年5月には正式に取引が完了しました。合併後、ホルツブリンクが53%、BCパートナーズが47%の持分を保有する形となりました。

この新しい企業の根幹には、非常に長い歴史を持つ雑誌や出版社が存在しています。その中で特に名高いのは、1842年にベルリンでユリウス・シュプリンガーによって設立されたシュプリンガー・フェアラーク（Springer-Verlag）であり、1869年からは『ネイチャー』を発行しているネイチャー出版グループ、また1843年に設立されたマクミラン出版社です。これらの歴史ある組織が統合することで、幅広い学問分野をカバーする出版が可能となりました。

合併後、シュプリンガーの元CEOであるDerk Haankが新会社のCEOに就任しましたが、2017年末には退任。その後は、Bol.comの共同創業者であり長年CEOを務めたDaniel Ropersが後任としてその職に就き、2019年9月にはFrank Vrancken PeetersがCEOに就任しています。

論争とポリシー

シュプリンガー・ネイチャーは、その出版活動においていくつかの論争にも直面しています。2017年には、中国国内からの特定の記事へのアクセスを制限したことが報じられ、チベットや台湾に関する内容を遮断したことが問題視されました。さらに、2020年8月には、同社が共同出版する『Eye and Vision』誌において、台湾の医師が提出した論文の掲載を拒否したことが報じられました。この拒否の理由は、論文内で「台湾」の後に「中国」という記載がなかったためだとされていますが、同社はこの決定が特定のガイドラインに基づくものであると説明しています。

2020年の7月には、学術誌『ソサエティ』に掲載された論文に関して、査読プロセスに問題があったとの理由から撤回される事態が発生しました。また、2019年には『BMC Emergency Medicine』に掲載された論文でも同じく疑わしい査読プロセスが指摘され、撤回されることになりました。

現代の学術出版において、倫理的な問題や政策に関する議論が高まる中、シュプリンガー・ネイチャーはその位置付けと役割において重要な存在であり続けるでしょう。

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