シュミットハンマー

シュミットハンマー（コンクリートテストハンマー）とは

シュミットハンマーは、コンクリートの圧縮強度を推定するために用いられる測定器です。PROCEQ社（スイス）の登録商標であり、一般的には「コンクリートテストハンマー」や「リバウンドハンマー」とも呼ばれます。非破壊検査手法の一つで、構造物を傷つけることなく、コンクリートや岩石の強度を推定できます。

原理

コンクリートの圧縮強度と表面硬度には相関関係があります。シュミットハンマーは、この関係を利用し、コンクリート表面を打撃した際の反発度を測定することで、圧縮強度を推定します。1948年にスイスのシュミット博士によって開発されました。

特徴

利点

非破壊検査であるため、構造物を損傷させずに測定できます。
軽量で持ち運びが容易であり、操作も簡単です。
多数の測定を容易に行えるため、強度分布を把握するのに適しています。

欠点

他の測定方法に比べて精度はやや劣ります。
コンクリートの含水率や表面の粗さなどの影響を受けやすいです。
薄いコンクリート構造物では正確な測定が難しい場合があります。

シュミットハンマー法は、簡便さがメリットである一方、精度面では限界があるため、詳細な調査前の予備調査などに適しています。反発度と圧縮強度の相関は統計的なデータに基づいており、科学的な根拠はありません。

検査方法

従来のコンクリート強度測定では、コアを採取して圧縮試験を行う必要がありましたが、構造物を傷つけるという問題がありました。シュミットハンマーは、この問題を解決する非破壊検査として利用されています。バネの力でコンクリートを打撃し、その反発力を測定することで強度を推定します。測定時には、重力の影響を考慮して打撃角度を補正する必要があります。測定値にはばらつきが生じやすいため、通常は20回程度の測定を行い、その相加平均を採用します。測定精度は±20%程度とされています。

地形学における利用

シュミットハンマーは、地形学の分野でも岩石や岩盤の硬度を測定するために利用されています。特に、岩石の採取が困難な場所での測定に役立ち、R値（反発度）と地形との関係を分析するのに用いられます。R値から一軸圧縮強度を推定したり、風化の進行度合いを把握したりすることも可能です。風化の進んだ岩石とそうでない岩石のR値を比較することで、地形を構成する物質の堆積年代を推定する研究も行われています。

まとめ

シュミットハンマーは、コンクリートや岩石の強度を非破壊で簡便に推定できる便利なツールです。ただし、測定精度には限界があるため、あくまで目安として活用し、必要に応じて他の測定方法と併用することが重要です。

参考文献

『コンクリート診断技術 基礎編』 社団法人日本コンクリート工学協会
『JIS A 1155(2003)コンクリートの反発度の測定方法』 財団法人日本規格協会
松倉公憲、青木久「シュミットハンマー : 地形学における使用例と使用法にまつわる諸問題」『地形』第25巻第2号、2004年、175-196頁。
松倉公憲『山崩れ・地すべりの力学 地形プロセス学入門』筑波大学出版会、2008年。ISBN 978-4-904074-07-7。
* 『テストハンマーによる強度推定の6つのポイント』　国土交通省大臣官房技術調査課　独立行政法人土木研究所　技術推進本部構造物マネジメント技術チーム　平成13年

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