シュリークス

シュリークス

シュリークスは、1960年代後半から1970年代初頭にかけて日本のフォークソングシーンで活動したグループです。1969年にその歴史をスタートさせ、短い活動期間ながらも、後の音楽シーンに大きな影響を与えるメンバーを輩出しました。

結成と初期

グループの結成は、1969年にまで遡ります。早稲田大学のフォーク・ソング・クラブで活動していたグループ「ザ・フォーシュリーク」が解散した後、同グループのリーダーを務めていた神部和夫氏が中心となり、新たな音楽活動を目指しました。

神部氏は、同じ早稲田大学出身の嘉屋泰雄氏、そして明治大学で活動していた山田嗣人氏（後に山田パンダとして広く知られるようになります）に声をかけ、3人組のグループ、シュリークスを結成します。大学の枠を超えた才能の集結は、当時のカレッジフォークシーンの一つの象徴でもありました。

結成から間もなく、彼らは音楽界に正式に登場します。1969年9月、コロムビアレコードからリリースされたシングル「君よ!人生は」でデビューを果たし、若々しい感性とフォークサウンドで注目を集めました。

メンバーの変遷とヒット

シュリークスは、活動期間中に何度かメンバーの変動を経験します。初期メンバーの一人であった嘉屋泰雄氏がグループを離れた後、新たなメンバーとして所太郎氏が参加します。所氏は、当時すでに人気のあったフォークグループ「ザ・リガニーズ」のメンバーとしても活動しており、その加入はグループに新たな音楽的深みをもたらしました。

グループにとって大きな転機となったのは、1970年に東芝エキスプレスからリリースされたシングル「さらば」のヒットです。この楽曲はシュリークスの代表曲となり、彼らの名前をより広い層に知らしめることとなりました。叙情的なメロディとハーモニーは、当時の多くの若者の共感を呼びました。

さらに、グループの歴史において重要な人物となる保坂としえ氏（後のイルカ）がこの時期に参加します。彼女の加入により、シュリークスは男女混声ボーカルを含む編成となり、「君の生まれた朝」といった楽曲を発表しました。しかし、この時期には再びメンバーの脱退があり、所太郎氏、そして後にフォークグループ「かぐや姫」で中心メンバーとして活躍する山田嗣人氏がグループを離れることになりました。これにより、シュリークスは神部和夫氏と保坂としえ氏の男女二人組ユニットという形に落ち着きました。

その後の展開とイルカのソロへ

二人組となったシュリークスは、公私ともにパートナーシップを深めていきます。神部和夫氏と保坂としえ氏は結婚し、保坂氏は神部としえ氏となりました。この結婚を機に、グループとしてのシュリークスの活動は次第に終息へと向かっていきます。

神部としえ、すなわちイルカは、その後ソロシンガーとしての道を歩み始めます。そして、1975年に発表した「なごり雪」が空前の大ヒットを記録し、彼女は日本の音楽シーンを代表するアーティストの一人となります。シュリークスとしての活動は短かったものの、イルカという偉大なソロシンガーを輩出したグループとして、その存在は日本のフォーク史において重要な意味を持ちます。

日本のフォーク史における位置づけ

シュリークスは、結成から活動期間の長さだけを見れば、比較的短いグループであったと言えるかもしれません。しかし、彼らが残した「さらば」のようなヒット曲、そして何よりも、山田パンダ氏やイルカ氏といった、その後の日本のフォークシーン、ひいてはポピュラー音楽界を牽引していく才能を輩出したという点で、その功績は非常に大きいと言えます。彼らの音楽は、当時の社会情勢や若者の心情を反映しており、日本のフォークムーブメントの一端を担いました。

グループの音楽活動の記録は、発表されたシングルやオリジナル・アルバム、ライブ・アルバムといった形で現在も確認することができます。これらの音源からは、当時の彼らの創造性や、時代を彩ったフォークサウンドの息吹を感じ取ることができるでしょう。

このように、シュリークスは単なる一つのグループにとどまらず、日本のフォークソングが隆盛を極めた時代において、重要な才能が集まり、育まれ、そして新たな音楽へと繋がっていく、まさしくその過渡期を象徴する存在であったと言えるでしょう。彼らの名前は、日本のフォーク史において、確かに刻まれています。

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