シュワスマン・ワハマン第3彗星

シュワスマン・ワハマン第3彗星 (73P/Schwassmann-Wachmann)

シュワスマン・ワハマン第3彗星は、1930年5月にドイツのハンブルクで発見された周期彗星です。発見者はアルノルト・シュヴァスマンとアルノ・アルトゥール・ヴァハマンであり、この彗星は約5.36年の周期で地球に接近します。16年ごとに地球に近づく特性を持つ、木星族の典型的な彗星です。

軌道の特徴

この彗星の遠日点は木星の外側にあり、近日点は地球の軌道内に位置しています。元々の彗星核の推定サイズは直径1.1km程度で、これまでの観測によりその軌道や物理的特性が明らかになっています。これだけの時を経ても、ハルシネーションのない記録的な観測が続いています。

観測史

シュワスマン・ワハマン第3彗星は、1930年に発見された後、一時行方不明となりました。しかし、1979年8月にパース天文台の天文学者たちによって再度発見されました。その後1985年から1986年の回帰時には観測されなくなりましたが、1990年には再び目撃されました。1995年の回帰時は地球に接近する距離が1au以上であるため、観測の難しさが予想されました。

しかし、1995年10月初めに彗星核が分裂を起こし、それに伴って劇的な増光が見られました。このとき核はA、B、C、Dの4つに分かれ、以降の観測でも新たな核が次々に発見される事態となりました。例えば2001年にはAとD核が消失し、新しいE核が確認されました。

2006年の回帰時には、元々あった核からB、C、Eの他にもGが発見され、多数の小型核が確認されました。小型核のうちのいくつかはB核から分裂したと考えられています。特に2006年4月下旬から5月上旬にかけて、分裂した核は地球に大接近し、5月12日にはC核が地球から約1170万kmの距離を通過しました。この時、C核は一時的に2等級、B核とE核は5等級にまで明るくなるという期待がありましたが、実際にはC核は5等級にとどまりました。

流星群との関連性

シュワスマン・ワハマン第3彗星は、その接近時に流星群の突発出現も引き起こしています。特に1930年には、流星群が時間あたり60～70個ほど観測され、これがヘルクレス座τ流星群と名付けられました。その他にも、うしかい座α流星群やうしかい座ε流星群といった小規模な流星群の出現も指摘されています。ただし、2006年の接近時には流星出現の可能性は低いとされ、実際には特に目立つ流星は見られませんでした。今後、2022年と2049年には新たに観測可能な流星群が出現することが予測されています。

計画された探査

シュワスマン・ワハマン第3彗星への探査を目指したNASAのCONTOUR探査機は、2006年に接近飛行を予定していましたが、2002年に通信が途絶したため、その計画は失敗に終わりました。

シュワスマン・ワハマン第3彗星は今後も多くの天文学者の関心を引く対象であり、今後の観測によって新たな発見が期待されています。

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