シュヴァーベンジュラにある洞窟群と氷河期の芸術

シュヴァーベンジュラにある洞窟群と氷河期の芸術

南ドイツのシュヴァーベンジュラ山脈に点在する6つの洞窟群は、ユネスコの世界遺産に登録されています。これらの洞窟は、最終氷期（約43,000年前から33,000年前）に人類が生活の拠点として利用していました。ローネタールとアッハタールという二つの谷に位置し、洞窟内からは、当時の人々の文化や生活を知る上で非常に重要な遺物が数多く発見されています。

洞窟から発見された遺物

洞窟からは、女性をかたどった小像、ライオンやマンモス、鳥類、ウマ、ウシ科、魚類などの動物を模った彫像、楽器、装飾品などが出土しています。特に注目されるのは、半人半獣の小立像です。これらの彫像は、オーリニャック文化に属しており、彫刻として認められるものとしては最古の部類に属します。また、鳥の骨で作られたフルートは、楽器としては世界最古級のものとされています。

登録経緯

この物件は、2015年1月15日に[世界遺産]]の暫定リストに記載され、2016年1月13日に正式に世界遺産センターに提出されました。国際記念物遺跡会議]は「登録」を勧告し、2017年の第41回[[世界遺産委員会において登録が決定しました。

登録名と登録基準

世界遺産としての登録名は、Caves and Ice Age Art in the Swabian Jura（英語）およびGrottes et l’art de la période glaciaire dans le Jura souabe（フランス語）です。日本語訳にはいくつかのバリエーションが見られます。

この世界遺産は、以下の登録基準を満たして登録されました。

• - (3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。

この基準は、「ヨーロッパに定住した最初の現生人類の文化」を伝えるものとしての傑出した価値が評価されたものです。推薦時には創造的才能に適用される基準 (1) も提案されましたが、ICOMOSは出土品の芸術性は認めたものの、洞窟そのものには適用できないと判断しました。

構成資産と保護

世界遺産は、アッハタール（Ach Valley, ID1527-001）とローネタール（Lone Valley, ID1527-002）という2つの渓谷を対象としています。登録範囲は、アッハタールが 271.7 ha （緩衝地帯 766.8 ha）、ローネタールが 190.4 ha （緩衝地帯 391.9 ha）です。

構成資産の近くで風力発電の開発計画がありましたが、ICOMOSは不許可とするよう勧告し、地元であるバーデン＝ビュルテンベルク州は、その勧告に従い、建設計画を認めない決定をしました。

シュヴァーベンジュラの洞窟群と氷河期の芸術は、人類の歴史と文化を深く理解するための貴重な遺産であり、その保護と研究の重要性はますます高まっています。

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