ショパンの主題による変奏曲 (ラフマニノフ)

ラフマニノフ『ショパンの主題による変奏曲』作品22：ピアノ音楽の壮大なる変奏

セルゲイ・ラフマニノフが1902年から1903年にかけて作曲した『ショパンの主題による変奏曲』（露: Вариации на тему Ф. Шопена）作品22は、ピアノ独奏のための変奏曲です。1903年に出版され、同年2月に作曲者自身の演奏によって初演されました。

この作品は、フレデリック・ショパンの前奏曲第20番ハ短調のコラール風の主題を基に、22回の変奏を通じて、その音楽的可能性を深く掘り下げています。原曲は、アルフレッド・コルトーによって「葬送」と称された、短くも壮大な性格を持つ作品であり、ラフマニノフが得意とする憂鬱な短調の作風と見事に調和しています。特に、原曲に含まれる複雑な半音階的ハーモニーは、変奏曲の素材として非常に適しており、ラフマニノフは名人芸的な技巧と、原曲の和声から引き出した旋律を巧みに組み合わせて、豊麗な音楽世界を創造しています。

興味深い点として、ラフマニノフは初版において、演奏者の任意で第7、第10、第12変奏を省略すること、そして第22変奏のプレスト部分をカットし、ハ長調で終結させてもよいと指示しています。これは、演奏者に対する作曲家からの柔軟なアプローチの提案と解釈できます。

ちなみに、フェルッチョ・ブゾーニもこの主題に触発され、『ショパンのハ短調前奏曲による変奏曲と自由な形式のフーガ』作品22（1884年、カール・ライネッケに献呈）と『ショパンの主題による10の変奏曲』（作品番号なし、ジノ・ターリアピエトラに献呈）を作曲しており、この主題が多くの作曲家に影響を与えたことがわかります。

構成

特に言及がない限り、楽曲はハ短調、4分の4拍子で構成されています。

主題：ラルゴ
ショパンの原作は13小節からなりますが、ラフマニノフは9小節目以降の4小節を省略し、最終小節に繋げることで、9小節の主題としています。
第1変奏：モデラート
第2変奏：アレグロ
第3変奏：アレグロ
第4変奏：アレグロ、4分の3拍子
第5変奏：メノ・モッソ
第6変奏：メノ・モッソ、4分の6拍子
第7変奏：アレグロ
第8変奏：アレグロ
第9変奏：アレグロ
第10変奏：ピウ・ヴィヴァーチェ
第11変奏：レント、8分の12拍子
第12変奏：モデラート
第13変奏：ラルゴ
第14変奏：モデラート、4分の4拍子（4分の2拍子が挿入されます）
第15変奏：アレグロ・スケルツァンド、ヘ短調、8分の12拍子
第16変奏：レント、ヘ短調
第17変奏：グラーヴェ、変ロ短調
第18変奏：ピウ・モッソ、変ロ短調
第19変奏：アレグロ・ヴィヴァーチェ、イ長調
第20変奏：プレスト、嬰ハ短調、4分の3拍子
第21変奏：アンダンテ、4分の3拍子
変ニ長調で始まり、ハ長調に転調します。
第22変奏：マエストーゾ-メノ・モッソ-プレスト、ハ長調、4分の3拍子

外部リンク

ショパンの主題による変奏曲作品22の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト) - 国際楽譜ライブラリープロジェクト
ショパンの主題による変奏曲 - ピティナ・ピアノ曲事典 - ピティナ・ピアノ曲事典
（ロシア語） Piano.ru - Sheet music download - Sheet music download
* （ロシア語） Chubrik.ru - Audio download - Audio download

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