ショート シーミュー

ショート シーミュー（Short SB.6 Seamew）

ショート シーミューは、1950年代にイギリスで試作された艦上対潜哨戒機です。この機体は、ターボプロップエンジンを搭載した軽量かつコスト効率の高い設計が特徴でしたが、最終的にはわずか19機しか生産されませんでした。このような短い生産期間の原因は、防衛予算の削減によるものでした。

開発の背景

イギリス海軍は、1950年に艦上対潜哨戒機としてフェアリー ガネットを採用しました。これを受けて、1951年により軽量で安価な対潜哨戒機の開発が始まります。1952年、ショート社に対して試作機の発注が行われ、翌年には原型の初飛行が実現しました。

ショート シーミューは、アームストロング・シドレー マンバ ターボプロップエンジンを搭載した単発機で、コクピットは機首の前方に配置され、視覚の確保が考慮されていました。また、対潜レーダーも機首下に設置されているため、機体の降着装置は尾輪式とされ、主脚は固定脚となっていました。主翼は外側から折りたたむことが可能で、運用時の柔軟性を高めています。

武装と機能

武装は胴体内部の爆弾倉に魚雷や爆雷を搭載し、主翼のパイロンにはロケット弾や小型爆弾も装着可能でした。このような多様な武装により、対潜任務における柔軟な運用が期待されました。

生産と配備状況

1955年に海軍から41機の生産が発注されるものの、空軍からの興味は薄れ、発注は取り消されることとなりました。最初の生産型が完成した際には、海軍のRNVRが解体されるなどの背景もあり、必要な運用先が見当たらなくなりました。その結果、生産は中止され、実際に海軍に納入されたのはわずか7機でした。

生産がキャンセルされた理由としては、防衛費削減の他に、本機が抱える飛行性能や安定性に関する問題があり、軍は不安を感じていたためとも言われています。

基本スペック

• - 全長: 12.5 m
• - 全幅: 16.75 m
• - 全高: 4.09 m
• - 全備重量: 6,804kg
• - エンジン: アームストロング・シドレー マンバ ターボプロップエンジン 1,590hp ×1
• - 最大速度: 380km/h
• - 実用上限高度: 13,700m
• - 航続距離: 1,200km
• - 乗員: 2名

ショート シーミューは、その短命な製造歴にもかかわらず、特異な設計思想と機能を持った機体であり、航空機史においても一部の愛好家の間で評価されています。

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