フェアリー ガネット

ガネット（Fairey Gannet）

ガネットは、イギリスのフェアリー社が設計した艦上対潜哨戒機であり、1945年にイギリス海軍の要求仕様を受けて開発が始まりました。この機体は、ダブルマンバエンジンというユニークなターボプロップエンジンを2基搭載し、艦上での運用に特化した構造を持っています。愛称の「ガネット」はカツオドリを意味し、その名にふさわしい特異なデザインが特徴的です。

計画と設計

1945年、イギリス海軍は艦載対潜哨戒機の開発を目的とした仕様書GR.17/45を発表しました。この仕様書を受け、フェアリー社は自社のフェアリー17（のちのガネット）を提案しました。ガネットの設計においては、アームストロング・シドレー社が開発したマンバターボプロップエンジンを基にした、ダブルマンバエンジンが採用されました。このエンジンは、プロペラを二重反転させる構造で、片方のエンジンが停止しても飛行を続けられることが特徴です。

ガネットの乗員は、操縦士1名と空中監視員2名の計3人で構成され、空中監視員は前後に配置されます。また、独特な折り畳み翼を持ち、通常の2つ折りではなく「Z」の字型に折りたためる設計になっています。このような設計は、艦上でのスペースを効率的に使用するための工夫です。

生産と運用

ガネットは、1949年に初飛行し、1950年には空母「イラストリアス」での着艦試験を成功させました。1953年には最初の生産型であるAS.1型の生産を開始し、以降も様々な型が登場しました。最終的にAS.1型は180機が生産されることとなります。1955年には、空母イーグルの艦載部隊に初めて配備され、本格的な運用を開始しました。

その後も、ガネットは改良型のAS.4型や練習機型のT.2型、さらには早期警戒機型のAEW.3型なども開発されました。特にAEW.3型は、電子機器の搭載に特化したモデルで、44機が製造され、長期にわたり運用されました。

軍事的役割とその他の国での運用

ガネットは主に対潜哨戒任務に従事しましたが、1960年代半ばにはその任務がウエストランド ホワールウインドに移行し、ガネットは余剰機となりました。その一部は電子戦型に改修され、陸上で使用されました。また、輸送機型のCOD.4型も存在しました。

国外でもガネットは注目され、オーストラリアや西ドイツ（当時のドイツ連邦海軍）においても使用されました。特にオーストラリア海軍では、空母メルボルンに配備され、操作されるなど、国際的な活躍を見せました。加えて、インドネシアもガネットを使用した国の一つとして知られています。

現存する機体と記憶

現在、ガネットはイギリス国内外でいくつかの機体が保存・展示されています。その中でもダックスフォード帝国戦争博物館にはAS.6型の1機が保存されており、航空史の一部として多くの人々に親しまれています。ガネットは、独自のデザインと機能で航空史に名を刻んだ航空機であると言えるでしょう。

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