ショート シーランド

ショート SA.6 シーランドについて

ショート SA.6 シーランドは、主に民間向けに設計された水陸両用機であり、最大で7名を搭乗させることができる小型飛行機です。本機はその名の如く、水面からの離水や滑走路からの離陸が可能であり、様々な環境での運用が期待されました。特に、河川や湖、湾など多様な水域、および整備された飛行場からの操作が特長です。

設計と特性

シーランドは、片持ち式の高翼単葉構造を持ち、全金属製の船体を使用しています。両翼の下にはフロートが装備され、尾輪式の降着装置もついています。この独自の設計により、シーランドは水上での安定した運行が可能で、2名の操縦士による操縦も可能です。つまり、シングルオペレーターでも動かすことができるようにも設計されています。

制作と運用歴史

初めての試作機は1948年に完成し、その数日後には実際に水面からの離陸テストが行われました。ショート社はその後4機の前量産型を製造し、うちの1機はデモ機として使用されましたが、その後の運航で事故に遭い、操縦士と代理店長が命を落としました。残りの3機は、主にノルウェーやボルネオに向けて販売されました。さらに、他にも10機のシーランドが製造され、小規模な運航事業に供給されました。

特に、エジプトの顧客向けに装備を豪華に施したシーランドは「ナディア」と名付けられ、大変な人気を博しました。1952年にはインド海軍が10機を発注しました。これらの機体は、燃料搭載量の増加やエンジン性能の向上が施され、1953年から1954年にかけて納入されました。インド海軍のシーランドは12年にわたり現役で運用され、最終的に一機はインド国立航空博物館に展示されることとなりました。

現存している機体は、いくつかの航空博物館に保存されています。現存する2機目は、ベオグラードにあり、かつてG-AKLFとして登録されていたとされている機体です。しかし、この機体は実際には別の登録記号が付されていたと言われています。3機目は裕福なエジプトの顧客が購入したもので、現在は北アイルランドにある博物館で修復されています。また、ショート社自体も初号機を保持しており、さまざまな実験に使われましたが、最終的には廃棄されました。

運用の多様性

この機体は、日本やインド、ユーゴスラビア、ヨルダンといった国々で幅広く利用されました。特に、インドの海軍や、ユーゴスラビア空軍でも使用され、様々な任務をこなしました。こうした国際的な運用実績は、シーランドの技術的な優位性や信頼性を示しています。水面だけではなく、滑走路でも操業できる自由度の高さが、シーランドの特長です。

仕様

• - 乗員: 1または2名
• - 搭載量: 5-7名
• - 全長: 12.86 m
• - 全幅: 17.99 m
• - 全高: 4.57 m
• - 翼面積: 32.8 m²
• - 空虚重量: 3,190 kg
• - 最大離陸重量: 4,130 kg
• - エンジン: 2 × デ・ハビランド ジプシー・クイーン 70-3
• - 最大速度: 300 km/h
• - 巡航速度: 282 km/h

結論

ショート SA.6 シーランドは、その革新的な設計と運用の自由度により、民間だけでなく軍事用途でも高く評価されました。歴史的にもその存在感は大きく、今なお多くの航空愛好家に注目されています。

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