ショート ベルファスト

ショート ベルファスト（Short Belfast）

ショート ベルファストは、イギリスの航空機メーカー、ショート・ブラザーズ社（Short Brothers）が開発した4発ターボプロップ大型輸送機です。1964年に初飛行し、イギリス空軍で運用されましたが、その生産数はわずか10機にとどまりました。

開発の経緯

1959年、イギリス空軍は長距離戦略輸送機の仕様を提示し、ショート社がこれに応募、受注しました。ショート社は、当時下請け生産していたブリストル ブリタニアをベースにすることで、開発期間とコストの削減を目指しました。

試作1号機は1964年1月5日に初飛行し、914mという短い滑走距離での離陸に成功しました。機体は、主翼、尾翼、エンジンをブリタニアから流用し、新規設計の胴体と組み合わせたものです。胴体は直径約5メートルあり、30トン以上の貨物または150名の兵員を搭載できました。また、胴体後部には大型の貨物搭載用扉を設け、高翼配置の主翼と短い降着装置の脚柱により、貨物の積み下ろしが容易に行えるように設計されています。

運用状況

ベルファストは、当初民間航空会社にも売り込まれましたが、関心を得られず、イギリス空軍のみが採用しました。イギリス空軍は当初30機の調達を予定していましたが、労働党政権による防衛費削減の影響で、発注は10機に削減されました。配備されたのは第53飛行隊のみで、同部隊は1976年9月に解隊され、ベルファストは実戦に参加することなくイギリス空軍から退役しました。

退役した機体のうち数機は、民間の輸送会社に払い下げられ、そのうち1機はオーストラリアの航空会社に転売されました。その後、フォークランド紛争が発生し、大型輸送機が不足する事態となりました。この事態を受け、ベルファストの退役は近視眼的であったと認識されました。紛争後、イギリス空軍は失われた戦略輸送能力を埋めるべく、ロッキード トライスターを導入し、その後もC-17やエアバス A400Mといった戦略輸送機を導入し続けています。

スペック

• - 全長：41.58 m
• - 全幅：48.4 m
• - 全高：14.33 m
• - 翼面積：229.09 m2
• - 自重：57,606 kg
• - 最大離陸重量：104,326 kg
• - 乗員：4名　兵員150名
• - 発動機：ロールス・ロイス タイン RTy.12 Mk.101 ターボプロップエンジン 5,730 hp ×4
• - 最高速度：566 km/h
• - 航続距離：8,528 km (最大)
• - 実用上昇限度：9,144 m

運用国

• - 軍事運用

- イギリス：イギリス空軍
- 第53飛行隊

• - 民間運用

- オーストラリア：ヘビーリフト・カーゴ航空
- イギリス：TAC ヘビーリフト、トランスメリディアン・エア・カーゴ

関連項目

• - 輸送機
• - イギリス空軍機の一覧

外部リンク

• - HeavyLift Cargo Airlines
• - Shorts SC.5 Belfast

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