ショーハウス記念館

長野県北佐久郡軽井沢町に位置するショーハウス記念館は、明治時代にこの地を避暑地として広く紹介したことで知られる聖公会宣教師、アレキサンダー・クロフト・ショー氏が1888年に建設した、軽井沢で初めて建てられた別荘として歴史的な価値を持つ建造物です。

歴史と移築の経緯

ショー氏によって建てられたこの別荘は、当初、旧軽井沢エリアの高台に位置する大塚山にその姿を現しました。軽井沢の豊かな自然と静寂の中で、ショー氏は多くの時間を過ごし、この地の魅力を世界に発信していったと言われています。その後、この建物は時代の流れと共にその場所を変えることになります。昭和初期には、実業家である小坂順造氏によって軽井沢教会敷地内に移築され、一部改築が施されました。建物の歴史が一時的に途絶えることなく、大切に守られてきたことを物語っています。さらに時を経て、ショー氏の功績を後世に伝えるために結成されたショーハウス復元委員会によって、1986年に現在の地、ショー記念礼拝堂の隣に移築・復元されました。これは、単なる建物の移動ではなく、軽井沢の歴史において重要な役割を果たしたショー氏への敬意と、この歴史的建造物を未来に継承しようとする人々の熱意によって実現したものです。復元にあたっては、できる限り建築当初の姿に近づけるよう、 painstakingな作業が行われました。

館内の展示

現在のショーハウス記念館の館内では、軽井沢の礎を築いたアレキサンダー・クロフト・ショー氏が生涯愛用した品々が数多く展示されています。家具や書物、身の回りの品々など、当時の生活を偲ばせる展示品を通して、ショー氏の人となりや、彼がどのように軽井沢で暮らし、活動していたのかを知ることができます。展示品一つ一つから、ショー氏の穏やかな人柄や、この地への深い愛情が伝わってくるようです。これらの展示は、訪れる人々に、避暑地軽井沢の誕生とその立役者であるショー氏について学ぶ貴重な機会を提供しています。

利用案内

ショーハウス記念館は、年間を通じて多くの来訪者を受け入れています。開館時間は通常午前9時から午後5時までですが、軽井沢が最も賑わう夏の時期、具体的には7月から9月にかけては、閉館時間が午後6時まで延長されます。休館日は、原則として毎週木曜日と祝日の翌日です。ただし、冬季期間である11月1日から翌年の3月31日までは長期休館となります。また、軽井沢の最も美しい季節であり観光のピークでもある7月15日から9月15日までの間は、休館日を設けずに毎日開館しています。入館料は無料となっており、誰でも気軽に軽井沢の歴史に触れることができます。訪問を計画される際は、季節ごとの開館状況を事前に確認することをお勧めします。

交通アクセスと周辺情報

ショーハウス記念館へのアクセスは、北陸新幹線としなの鉄道線の停車駅である軽井沢駅が起点となります。軽井沢駅からは、バスを利用して「旧軽井沢ロータリー」で下車するのが便利です。バス停からは徒歩約10分で記念館に到着します。

記念館の周辺には、軽井沢を代表する観光スポットや歴史的な場所が点在しています。隣接するショー記念礼拝堂は、ショー氏を記念して建てられた教会で、美しい木造建築です。すぐ近くには、カフェやレストラン、土産物店が軒を連ねる旧軽井沢銀座があり、多くの観光客で賑わいます。また、歴史あるつるや旅館、趣のある軽井沢聖パウロカトリック教会、水面に映る木々が美しい雲場池、国の重要文化財である旧三笠ホテル、格式高い万平ホテル、そして軽井沢ユニオンチャーチなども徒歩圏内または短時間の移動で訪れることができます。これらの周辺施設と合わせて巡ることで、避暑地軽井沢がたどってきた歴史や文化をより深く理解することができるでしょう。

ショーハウス記念館は、軽井沢の精神的な故郷ともいえる場所であり、この地を訪れる人々にとって、軽井沢の歴史と自然の魅力を結びつける貴重な体験を提供しています。

もう一度検索