ショーン・ケンプ

ショーン・ケンプ：栄光と苦悩、そして「レインマン」の伝説

ショーン・トラビス・ケンプ・シニア（Shawn Travis Kemp Sr.、1969年11月26日 - ）は、アメリカ合衆国インディアナ州エルクハート出身の元プロバスケットボール選手。NBAのシアトル・スーパーソニックスなどで活躍し、「レインマン」の愛称で知られるNBA歴代屈指のダンカーとして名を馳せました。

早熟の才能、そしてNBAへ

高校卒業後、ケンタッキー大学に進学するも、公式な試合には出場せず、テキサス州の短大へ転籍。そこでもプレイすることなく、NBAドラフトへの参加を表明するという異例の経歴の持ち主です。しかし、テキサス州タイラーでのローカルイベント、ダンクコンテストでのビデオが、スーパーソニックスの目に留まり、無名のケンプはシアトルへと引き寄せられました。

1989年、ケンプはシアトル・スーパーソニックスに1巡目17位で指名されます。高卒選手としてNBA入りした彼は、1年目から先発に定着。2年目には平均15得点、8.4リバウンドと、その才能を開花させました。3年目以降は、平均得点とリバウンドで二桁を記録し、1994年から3年連続でオールNBAセカンドチームに選出されるなど、リーグを代表する選手へと成長を遂げます。

シアトルでの黄金時代

ジョージ・カール監督の下、ゲイリー・ペイトン、デトレフ・シュレンプら名選手を擁したソニックスは、西地区屈指の強豪として君臨。1996年にはNBAファイナルに進出を果たします。ケンプは、ファイナルの全6試合で平均23.3得点、10リバウンド、2ブロックと大活躍を見せましたが、チームは2勝4敗でシカゴ・ブルズに敗れ、優勝を逃しました。この時期は、ケンプの選手生活における最盛期だったと言えるでしょう。

雨の多いシアトルの気候と、雨のようにダンクを降らせるプレースタイルから、「レインマン」という愛称が与えられました。この愛称には、ダンクでコートを支配するという意味も込められています。

移籍、そして晩年

しかし、ソニックスとの契約に対する不満から、ケンプは1997年にクリーブランド・キャバリアーズへトレードされます。クリーブランドでの3年間は、平均18得点以上、10リバウンド以上と安定した成績を残しましたが、体重増加が問題視されるようになります。

2000年には、ポートランド・トレイルブレイザーズへ移籍。しかし、アルコール使用障害やコカインの服用といった問題を抱え、出場機会は激減。かつての輝きを失ってしまいます。その後、オーランド・マジックでプレーした後、2003年に現役を引退しました。

功績と Legacy

身長208センチのケンプは、そのキャリアの大半をリーグ屈指のパワーフォワードとして過ごしました。高い運動能力と、見る者を圧倒するダンクシュートは、多くのファンを魅了しました。シアトル時代には、街で最も人気のある選手の一人でした。オールスター戦には、1993年から1998年まで6年連続で出場。1994年には、ドリームチームIIのメンバーとしてバスケットボール世界選手権に出場し、優勝に貢献しました。生涯を通じての出場試合数は1,051、通算得点は15,347、通算リバウンド数は8,834を記録しています。

しかし、キャバリアーズ移籍以降は、体重増加に加え、アルコールや薬物の濫用がキャリアに暗い影を落としました。また、複数の私生児を抱えていたというスキャンダルも発覚し、世間を騒がせました。

引退後は、少年少女向けのバスケットボールキャンプやクリニックを開くなどの活動を行っています。かつての相棒、ゲイリー・ペイトン同様、シアトルとソニックスに強い愛情を抱いており、2014-15シーズンにサンダーがプレーオフを逃した際には、シアトル市内でプレーオフ不進出記念パーティを主催し、ソニックスファンとともにサンダーを挑発するなど、オクラホマシティ・サンダーを前身として認めない姿勢を明確にしています。

ショーン・ケンプは、その輝かしい才能と、晩年の苦悩を通して、多くの人々に記憶される選手として、その名を刻んでいます。

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