シラノ (映画)

映画『シラノ』：容姿コンプレックスと純愛の物語

2021年に公開された映画『シラノ』(原題: Cyrano)は、アメリカ合衆国、イギリス、カナダ合作によるミュージカル・恋愛ドラマです。1897年のエドモン・ロスタンによる戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』を原作とし、エリカ・シュミットによる2018年の舞台ミュージカルを基に映画化されました。監督はジョー・ライト、脚本はエリカ・シュミットが務めています。

舞台版と同様に、ピーター・ディンクレイジが主人公シラノ・ド・ベルジュラックを演じ、ヘイリー・ベネットがヒロインのロクサーヌを演じるなど、豪華なキャストが脇を固めます。

ストーリー：美しくも切ない純愛

舞台は17世紀のフランス。剣豪にして詩人として名高いシラノは、容姿の醜さをコンプレックスに抱えていました。彼は幼馴染で美しいロクサーヌに秘めた恋心を抱いていますが、その容姿ゆえに想いを打ち明けられずにいました。

そんな中、ハンサムな青年クリスチャンがロクサーヌに恋心を抱きます。ロクサーヌはクリスチャンに一目惚れしますが、口下手なクリスチャンの代わりに、シラノが恋文を代筆することになります。

シラノはクリスチャンのふりをし、物陰からロクサーヌに美しい愛の言葉を囁きます。ロクサーヌはクリスチャンの言葉と信じて、その夜に結婚式を挙げます。しかし、結婚式の後、シラノとクリスチャンは戦地へと召集されます。

最前線から、クリスチャンの名でロクサーヌに恋文を送り続けるシラノ。彼の純粋な愛に気づいたクリスチャンは、ロクサーヌに真実を告げるよう遺言を残し、敵の銃弾に倒れます。

クリスチャンの死後、修道院に引きこもるロクサーヌのもとに、シラノは真実を告げずに通い続けます。3年後、戦いで重傷を負ったシラノは、死を覚悟しながらもロクサーヌに「クリスチャンの最後の手紙」を読ませようとします。しかし、シラノが手紙の内容を暗唱する中で、ロクサーヌは手紙の真の作者がシラノであることに気づきます。

ロクサーヌの愛の告白を受け止め、シラノは静かに息を引き取ります。

キャスト：豪華俳優陣が集結

映画版では、舞台版と同じくピーター・ディンクレイジが主人公シラノを熱演。ヘイリー・ベネットがロクサーヌ、ケルヴィン・ハリソンJrがクリスチャンを演じるなど、実力派俳優たちが物語を彩ります。

その他、ベン・メンデルソーン、バシール・サラフディンなど、個性豊かな俳優陣が出演し、それぞれのキャラクターを魅力的に演じています。日本語吹き替え版も、森川智之さん、柚木涼香さん、増元拓也さんなど実力のある声優陣によって、作品のクオリティを高めています。

製作：舞台版からのスムーズな映画化

2020年8月に[メトロ・ゴールドウィン・メイヤー]が映画化権を獲得。エリカ・シュミットが自ら舞台ミュージカルを基に脚本を執筆し、ワーキング・タイトル・フィルムズが制作、ジョー・ライトが監督を務めました。撮影は2020年10月、COVID-19パンデミック下においてイタリアのシチリアで行われました。ザ・ナショナルが音楽を担当し、舞台版の世界観をそのままに映画へと昇華されています。

公開と評価：高い評価とアカデミー賞レースへの参戦

2021年9月2日にはテルライド映画祭でワールドプレミアが行われ、その後も数々の映画祭で上映されました。アメリカでは2022年2月25日に公開され、高い評価を獲得。Rotten Tomatoesでは支持率88%、Metacriticでは加重平均値73/100と、批評家からも高い評価を得ています。アカデミー賞レースにも参戦し、話題を呼びました。

まとめ：忘れられない純愛の物語

『シラノ』は、美しい映像、豪華なキャスト、そして心を揺さぶる音楽が三位一体となった、忘れられない純愛の物語です。容姿に悩むシラノの葛藤、そして彼をとりまく人々の愛憎が、繊細に描かれています。ミュージカル映画として、そして恋愛ドラマとしても、高い完成度を誇る作品と言えるでしょう。

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