シラージュ・ウッダウラ

シラージュ・ウッダウラの生涯と影響

シラージュ・ウッダウラ（Siraj ud-Daulah）は、1728年生まれのベンガル太守であり、1756年から1757年にかけてその地位に在位しました。彼の本名はマフムード・アリー・ハーンで、「国家の光」を意味するシラージュ・ウッダウラという称号で知られています。彼の生涯は、ベンガルの政治の動乱を反映したものであり、内紛と外敵との抗争を重ねていきます。

幼少期と即位以前の経歴

シラージュ・ウッダウラは、パトナの長官ザイヌッディーン・アフマド・ハーンの子として、権威ある家系に生まれました。彼は母の縁でベンガル太守アリーヴァルディー・ハーンの血を引き、1740年には海軍の小艦隊の提督に任命されました。その後、ビハールの太守を経て、1749年にはフーグリーのファウジュダールとして指揮を執りました。1752年には、アリーヴァルディー・ハーンから後継者に指名され、ついに1756年4月、祖父の死後にベンガル太守としての地位を継承します。

太守位の継承と権力争い

シラージュ・ウッダウラが太守位を得た際、彼の治世はすぐに敵対勢力との対立に直面します。彼には伯母のガシーティー・ベーグム、従兄弟のシャウカト・ジャングとミール・ジャアファルといった三人の強力な対抗者がいました。ガシーティー・ベーグムは、自身の家系が継承権を持つと考え、シラージュ・ウッダウラの権力を脅かす陰謀を巡らせていました。また、ミール・ジャアファルはシラージュ・ウッダウラに一時は味方しつつも、自らの権力を狙う複雑な思惑を持っていたのです。

即位後、シラージュ・ウッダウラは敵対者を粛清し、またイギリス東インド会社の影響を強く嫌っていました。イギリスとフランスの競争がベンガルの経済に影響を与え、シラージュ・ウッダウラはその干渉を許さない姿勢を見せます。彼はイギリスに対し不満を持ち、抗議活動を施しつつ、彼らの私貿易による経済的影響を問題視しました。

反英闘争とブラック・ホール事件

1756年の5月、シラージュ・ウッダウラはイギリスに対抗する決意を固めます。首都ムルシダーバードのイギリス工場を襲撃し、さらにはカルカッタ攻撃を企てます。彼はフランスの支援を受け、加勢を得た状態で攻撃を実行しましたが、結果的にイギリス捕虜146名が「ブラック・ホール」と呼ばれる場所で窒息死する事件を引き起こします。この出来事はイギリスにとって衝撃的なものであり、「ブラック・ホール事件」として記憶されることになります。シラージュ・ウッダウラはカルカッタをアリーナガルと改名し、さらなる軍事行動に移ります。

内部の裏切りとプラッシーの戦い

しかし、シラージュ・ウッダウラの成功が続く中で、彼は自らの立場を脅かす内部の陰謀に気づきませんでした。ミール・ジャアファルは、シラージュ・ウッダウラに忠誠を誓いながら、実際にはイギリス側と内通していました。プラッシーの戦いにおいて、シラージュ・ウッダウラは圧倒的な兵力で挑みましたが、ミール・ジャアファルの裏切りが致命的な結果を招きます。

1757年6月23日、プラッシーの戦いでの戦闘は始まりましたが、シラージュ・ウッダウラの信頼していた味方が戦わずに傍観し、最終的に彼は敗北。彼は追い詰められ、その後に捕らえられる運命に向かいました。最終的に、シラージュ・ウッダウラは7月4日に殺害され、その遺体は祖父のもとに埋葬されました。

評価と影響

シラージュ・ウッダウラは、反英闘争の中で「英雄」として名を馳せる一方で、内紛による悲劇的な運命を辿った指導者でもありました。彼の人格については批判的に評価され、特に信頼を寄せた軍総司令官ミール・ジャアファルに過度の信用を置いていたとされます。様々な評価がなされる中で、彼はインドの反英運動において一つの象徴的存在として後世に語り継がれています。

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