シラ書

『シラ書』は、別名『集会の書』または『ベン・シラの知恵』とも呼ばれ、ユダヤ教とプロテスタントの諸派では外典として扱われる一方、カトリック教会と正教会では旧約聖書の一部として認められている書物です。そのタイトルは、著者のベン・シラ（「シラの息子」という意味）に由来しています。

序言には、著者の名前がイエスス（ヨシュア）であり、元々はヘブライ語で書かれたものが、著者の孫によってギリシャ語に翻訳されたという記述があります。このオリジナルのヘブライ語版は、長い間失われたと考えられていましたが、19世紀にカイロでユダヤ教のラビ、ソロモン・シェクターによって発見され、その後20世紀にはマサダ城砦の遺跡でも発見されました。

内容の中心は、人間関係、教育、礼儀作法など、生活のあらゆる領域にわたる様々な教訓の集成です。しかし、後半部分ではイスラエルの歴史を称える賛歌も見られます。これらの教えや賛歌の背景には、神と律法への忠実さこそが真の知恵であるという思想が存在します。特に24章の「知恵の賛歌」では、『知恵の書』にも見られるように、神と知恵が同一視されたり、知恵が擬人化されたりする表現が見られます。

『シラ書』の構成は以下の通りです。

序言（1-36）
知恵の賛歌（1章）
神を畏れること（2章）
教訓1（3章-23章）
知恵の賛歌（24章）
教訓2（25:1-42:14）
神の賛美（42:15-43:33）
先祖への賛歌（44:1-50:21）
* シラの言葉、祈り（50:22-51:30）

この書物は、古代イスラエルの知恵文学の伝統を受け継ぎ、日常生活における実践的な知恵と信仰の重要性を説いています。神への畏敬の念を基盤とした倫理的な生き方や、人間関係における調和、そして先祖の歴史から学ぶことの意義を強調しています。

関連する項目として、「第二正典」や、同書を題材とした『4つの厳粛な歌』の第3歌が挙げられます。また、外部リンクとして、聖書全文や関連する文献、研究記事へのリンクが提供されています。

『シラ書』は、その教訓や知恵が今日においてもなお価値を持つ書物であり、信仰生活や倫理観を深める上で重要な役割を果たしています。

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