シリーズ昭和の名作マンガ

「シリーズ昭和の名作マンガ」は、朝日新聞出版が2008年5月から2009年5月にかけて刊行した漫画叢書です。A5判並製という統一された判型で、昭和時代に出版された数々の名作漫画を再編集し、新たな装いで読者のもとに届けられました。装丁はCreative・Sano・Japanが担当し、懐かしさと共に、現代的な洗練さを感じさせるデザインが特徴です。

このシリーズの魅力は、何と言っても収録作品の豪華さにあります。手塚治虫、石ノ森章太郎、水木しげる、松本零士といった、日本漫画史に名を残す巨匠たちの作品が一堂に会しているのです。滝田ゆうの心温まる作品や、上村一夫の耽美的な世界観、ちばあきおの青春ドラマ、バロン吉元の劇画、永井豪のバイオレンス、かわぐちかいじの社会派作品、石川賢のSF、林静一の叙情的な作品、谷岡ヤスジのギャグ漫画、赤塚不二夫のナンセンスギャグ、高井研一郎のエッセイ漫画など、幅広いジャンルの作品が収録されているのも魅力です。

2008年5月の創刊時には、滝田ゆう『銃後の花ちゃん』、上村一夫『菊坂ホテル』、手塚治虫『ボクのまんが記』の3冊が同時に刊行され、話題を呼びました。その後も、毎月20日前後に1冊、あるいは稀に2冊ずつ新刊が発売され、昭和の漫画ファンを喜ばせました。しかし、2009年5月以降は刊行が途絶えており、現在では入手困難な作品も少なくありません。

シリーズに収録された主な作品は以下の通りです。

滝田ゆう『銃後の花ちゃん』(2008年5月)
上村一夫『菊坂ホテル』(2008年5月)
手塚治虫『ボクのまんが記』(2008年5月)
ちばあきお『校舎うらのイレブン』(2008年6月)
水木しげる『河童千一夜』(2008年6月)
石ノ森章太郎『龍神沼』(2008年7月)
松本零士『銀河鉄道の夜』(2008年8月)
バロン吉元『賭博師たち』(2008年9月)
永井豪『真夜中の戦士』(2008年10月)
かわぐちかいじ『テロルの系譜：日本暗殺史』(2008年10月)
石川賢『5000光年の虎』(2008年11月)
林静一『赤色エレジー』(2008年12月)
谷岡ヤスジ『ヤスジのド忠犬ハジ公』(2009年1月)
赤塚不二夫『ア太郎＋おそ松：赤塚不二夫のマンガバカなのだ』(2009年2月)
* 高井研一郎『高井研一郎の昭和写真館』(2009年5月)

「シリーズ昭和の名作マンガ」は、昭和の漫画文化を振り返り、その魅力を再発見するための貴重なシリーズと言えるでしょう。各作品には、当時の社会や文化、人々の暮らしが色濃く反映されており、単なる娯楽作品としてだけでなく、歴史資料としても価値があります。昭和の漫画に触れたことのない若い世代にも、ぜひ手に取って、その奥深さを体験していただきたいと思います。

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