シルミド

映画『シルミド』について

『シルミド』（原題：실미도）は、2003年に公開された韓国の映画で、カン・ウソクが監督を務めました。作品は、1971年に韓国政府が秘かに進めた北朝鮮の金日成首相の暗殺計画に基づいています。この計画に関与した韓国軍の特殊部隊「684部隊」の物語を描いており、実際の歴史的事件である実尾島事件が背景となっています。この映画は、1999年に発表されたべク・ドンホの同名小説を原作にしています。

『シルミド』は、2003年12月に韓国で上映され、大きな反響を呼びました。多くの人々が歴史的真実を知る契機となり、観客数は1000万人を超えました。この記録は映画界において特筆すべきものであり、同作品は第25回青龍賞の最優秀作品賞や、第41回大鐘賞の最優秀助演男優賞（ホ・ジュノ）を受賞しています。日本でも2004年6月に公開され、話題を呼びました。

物語の概要

物語は1968年1月、北朝鮮の工作員による韓国大統領暗殺の未遂事件から始まります。この事件をきっかけに、金日成の暗殺が計画され、特務部隊「684部隊」がシルミド（実尾島）で編成されました。隊員たちは死刑囚などで構成され、目的を達成するために厳しい訓練を受けます。実際には3年間の訓練を受ける中で多くの死傷者が出ました。1971年、彼らは北朝鮮に潜入しようとしますが、南北和解の流れの中で作戦が中断され、彼らは不満を抱えながら再びシルミドに戻ることになります。

その後、韓国中央情報部は用済みとなった684部隊を抹殺することを決定します。訓練部隊の上層部はこの命令に苦しむ中、指揮官は命令を684部隊に漏らすことに決め、隊員たちは反乱を起こすことを決意します。彼らは自らの存在を世間に知らしめるため、警備兵を殺害し、バスを乗っ取ってソウルを目指します。

キャストと作品解説

この映画は製作過程で妨げがあったとされ、上映後の反響を受けて2005年には韓国政府が事件の真相追及を決定しました。この動きは、「映画が国を動かした」と言われるほどの反響を呼びました。

史実とその違い

実際の684部隊は、青瓦台襲撃未遂事件を受けて朴正煕政権が立案した報復計画の実行部隊として編成されました。隊員たちは主に一般人であり、高額な報酬に惹かれて応募した者がほとんどでした。映画には、実尾島での訓練中に死亡者が出たことや、その後に起きた反乱の様子が描かれています。1971年8月には、24名の隊員が反乱を起こし、韓国正規軍との銃撃戦を経て自爆しました。この事件は、韓国社会に深い影響を与えました。

映画では、隊員たちの背景や部隊の創設に至る経緯に関して若干の脚色がありますが、多くの観客に衝撃を与え、深い歴史的考察を促しました。

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