シルヴィオ・クレメンテッリ

シルヴィオ・クレメンテッリ：イタリア式コメディを支えた名プロデューサー

シルヴィオ・クレメンテッリ（Silvio Clementelli, 1926年10月28日 - 2001年12月4日）は、イタリアの映画プロデューサーであり、「イタリア式コメディ」のジャンルを代表する人物として知られています。

生涯と初期のキャリア

1926年に生まれたクレメンテッリは、1949年にステーノ監督の『トト、家を探す』で製作主任として映画業界でのキャリアをスタートさせました。その後、マリオ・モニチェリとステーノの共同監督作品『犬の生活』では助監督を務め、経験を積みました。

アテナ・チネマトグラフィカ社での製作主任を経て、クレメンテッリは同社で初のプロデュース作品となる伊仏合作映画『あいさつしてキス』を手がけました。1953年にイタリアとフランスで公開され、プロデューサーとしての才能を開花させました。

ティタヌス社での活躍と「イタリア式コメディ」の隆盛

ティタヌス社に移籍後、クレメンテッリは再び製作主任を経てプロデューサーとなり、ディーノ・リージ監督との協働を始めます。パスクァーレ・フェスタ・カンパニーレの小説を原作とした映画『祖母サベッラ』や、カンパニーレとマッシモ・フランチオーザが脚本を手がけた『美しいが貧しい娘たち』などのヒット作を次々と生み出しました。これらの作品は、1960年代の「イタリア式コメディ」の隆盛を牽引する重要な役割を果たしました。また、フランスやアメリカとの合作映画も手がけ、国際的な視野を持っていました。

クレシ・チネマトグラフィカ設立と新たな展開

1966年、クレメンテッリはアンナ・マリア・カンパニーレ（後のアンナ・マリア・クレメンテッリ）と共に映画製作会社「クレシ・チネマトグラフィカ」を設立しました。設立第一作はパスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ監督、カトリーヌ・スパーク主演のコメディ映画『結婚戦争』でした。以降も同監督と組み、『女性上位時代』やラウラ・アントネッリ主演の『クロツグミの男』など、数々の艶笑コメディを製作しました。

1970年代に入ると、サルヴァトーレ・サンペリ監督の『青い体験』を大ヒットさせ、新たな時代を築きました。

受賞と晩年

クレメンテッリは、1969年公開の映画『神はわれらとともに』で1971年度のナストロ・ダルジェント賞プロデューサー賞を受賞しました。また、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞では1974年に特別賞、1987年には『インクアイリー 審問』で、妻で共同プロデューサーのアンナ・マリア・クレメンテッリと共にアリタリア賞を受賞しました。1980年代にはテレビ映画の製作にも携わり、1989年には第42回カンヌ国際映画祭の審査員を務めました。

2001年12月4日、ローマで75歳で死去。ジャッロ映画、マカロニ・ウェスタン、モンド映画が流行した時代にあっても、クレメンテッリは「イタリア式コメディ」を基調とした恋愛、文芸、青春映画に徹し、独自の路線を貫きました。

フィルモグラフィ（一部）

『トト、家を探す』（1949年）製作主任
『犬の生活』（1950年）助監督
『あいさつしてキス』（1953年）プロデューサー
『祖母サベッラ』（1957年）プロデューサー
『貧しいが美しい男たち』（1957年）プロデューサー
『美しいが貧しい娘たち』（1957年）プロデューサー
『青い体験』（1973年）プロデューサー
『インクアイリー 審問』（1987年）プロデューサー

関連事項

イタリア式コメディ
クレシ・チネマトグラフィカ

クレメンテッリの作品は、イタリア映画史における重要な位置を占めており、その功績は今日でも高く評価されています。

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