青い体験

青い体験 (Malizia)

1973年に公開されたイタリア映画『青い体験』は、1970年代から1980年代にかけてイタリアで一大ブームを巻き起こしたお色気コメディの代表的作品として知られています。特に、少年が初めて性的な経験をする様子を描いた「筆おろしもの」と呼ばれるジャンルにおいて、その名を広く知られています。

概要

この映画は、類似作品として「青い経験」シリーズが存在します。撮影を担当したのは、後に『地獄の黙示録』、『レッズ』、『ラストエンペラー』といった名作でアカデミー撮影賞を3度受賞することになる、ヴィットリオ・ストラーロです。

日本では、このジャンルの映画が劇場公開されることは稀でしたが、『青い体験』はその数少ない例外の一つでした。1980年代には、テレビ朝日の「木曜洋画劇場」で頻繁に放映され、多くの視聴者に親しまれました。

ストーリー

物語は、呉服商を営むイグナツィオ一家を中心に展開します。イグナツィオは妻と3人の息子と暮らしていましたが、ある夜、妻が急逝してしまいます。葬儀後、イグナツィオたちが家に戻ると、見知らぬ女性アンジェラが出迎えます。彼女は亡き妻が生前に手配していた家政婦で、一家を励まそうと献身的に働きます。

アンジェラの働きぶりに感銘を受けたイグナツィオは、彼女に結婚を申し込みます。しかし、一家の次男であるニーノもまた、アンジェラに特別な感情を抱いていました。ニーノはあの手この手で父の再婚を邪魔しようとしますが、アンジェラはニーノが自分を嫌っているのだと誤解してしまいます。ニーノはアンジェラに自分の気持ちを打ち明け誤解を解きますが、彼女への思いが募るあまり、挑発的な態度を取るようになります。ある日、父と兄弟が出かけ、アンジェラと二人きりで夜を過ごすことになったニーノは、彼女への抑えきれない思いに苦悩します。

登場人物

アンジェラ: 30代前半の女性。亡くなる数日前のイグナツィオの妻の依頼で家政婦としてやってきます。家事全般が得意で働き者。恋人はいません。気が利く優しい性格で、イグナツィオ、ニーノ、アントニオの3人から好意を寄せられ、それぞれからのアプローチに困惑します。
ニーノ: ティーンエイジャーの少年。思春期で女性に興味津々。アントニオからは子供扱いされ、からかわれたり喧嘩をしたりする毎日。アンジェラに惹かれながらも、他の女性のセクシーな姿にも目を奪われます。
イグナツィオ: ニーノたち3兄弟の父親で、呉服商を営んでいます。妻を亡くし男手一つで息子たちを育てています。息子たちには厳しく接する一方で、女性には甘く、アンジェラに好意を抱きます。しかし、アンジェラに下心を見せるたびに、亡き妻の写真に謝罪します。
アントニオ: イグナツィオの長男で、高校生くらいの年齢。女好きで皮肉屋な性格。イグナツィオやニーノからは頭が弱いと揶揄されています。女性経験のないニーノを馬鹿にし、アンジェラにちょっかいを出そうとします。
エンツィーノ: 幼稚園児くらいの男の子。「死」の意味をまだ理解しておらず、母親の葬儀でも遊びに夢中です。幼いため場の空気が読めず、思ったことをそのまま口に出します。おばあちゃんが苦手。夜尿症対策として、毎晩アンジェラに抱きかかえられてトイレに連れて行ってもらっています。
コラッロ: イグナツィオの店の客である熟年女性。夫はすでに亡くなっています。艶やかな色気を漂わせ、イグナツィオからは陰で「シチリア一の尻」と評されています。イグナツィオと親しく、彼の妻の葬儀にも参列します。
ドン・チリッロ: 神父で、イグナツィオの古くからの友人。イグナツィオの妻の葬儀で参列者と共に祈りを捧げます。イグナツィオからアンジェラとの再婚について相談を受け、彼に協力します。
イグナツィオの母: イグナツィオの実家で家政婦のアデルと暮らしています。気難しく手厳しい性格で、普段は強気なイグナツィオも彼女の前では小さくなります。チリッロからは陰で「モーレツ婆さん」と評されています。アンジェラをメイドとして扱い、冷たく命令します。
デブ公 (愛称): ニーノの友達。ぽっちゃりした体型と赤毛が特徴。ニーノから若いメイドと暮らし始めたことを聞き興味を持ちます。当時イタリアの法律で違法であったかは不明ですが、タバコや酒を好みます。
ルチアナ: デブ公の姉。20代前半の女性。セクシーな服装を好み、男性をからかうのが好き。趣味はダンス。

スタッフ

監督: サルヴァトーレ・サンペリ
製作: シルヴィオ・クレメンテッリ
脚本: オッタヴィオ・ジェンマ / サルヴァトーレ・サンペリ / アレッサンドロ・パレンゾ
撮影: ヴィットリオ・ストラーロ
音楽: フレッド・ボングスト

キャスト

(省略)

関連作品

続・青い体験 (1974年)
青い体験・禁じられた十代の好奇心 (1975年)
プライベイトレッスン (この映画の影響を受けたアメリカ映画)

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