シロチョウガイ

シロチョウガイ（Pinctada maxima）

シロチョウガイは、ウグイスガイ科に属する二枚貝で、真珠母貝として世界的に知られています。特に、南洋真珠（白蝶真珠）を生産する重要な種であり、その美しい真珠層は、白色または金色を呈します。

概要

アコヤガイ属の中では最大級の大きさを誇り、直径は30cmに達することもあります。内殻は真珠層で構成されており、非常に硬いのが特徴です。内殻の色は、白色と金色の2つのタイプが存在し、この色が生産される真珠の色に影響を与えます。真珠層の色は、生息する水域の水温、プランクトンの種類、堆積物などの環境要因によって決定されます。

英語圏では、South Sea pearlまたはPhilippine pearlとして知られています。フィリピンでは、1996年に当時の大統領フィデル・ラモスによって国石に制定され、1000ペソ紙幣の裏面にも描かれています。

分布

シロチョウガイは、オーストラリア、フィジー、タヒチ、インドネシア、フィリピンなど、南太平洋からインド洋にかけての広い範囲に分布しています。これらの地域は、温暖な気候と豊かな海洋資源に恵まれており、シロチョウガイの生息に適しています。

真珠養殖

シロチョウガイは、白色、銀色、シャンパン色、金色の真珠を生産します。これに対し、クロチョウガイは、灰色、プラチナ色、石炭色、茄子色、孔雀色などの黒真珠（黒蝶真珠）を生産します。シロチョウガイが産する南洋真珠は、オーストラリア、インドネシア、タヒチ、フィリピンなどで養殖されており、高品質な真珠として世界中で珍重されています。日本では、1991年に琉球真珠が量産に成功し、事業化されています。

シロチョウガイは他の真珠母貝に比べて大型であるため、養殖にはより大きな核が使用されます。オーストラリアでは、西オーストラリア州キンバリー地区のブルーム湾が養殖の中心地であり、ピンク色の輝きを持つ白色や銀色の南洋真珠が有名です。フィリピンでは、金色の真珠が生産され、特に中国市場での需要が高く、人気を集めています。

食用

シロチョウガイのパールミートは、内転筋のことであり、珍味として知られています。海洋管理協議会の海のエコラベル（MSC認証）を取得しており、環境に配慮した持続可能な方法で漁獲されています。真珠を収穫した後に、可食部であるパールミートを取り外し、塩水で洗浄して冷凍されます。

近年では、西洋のトップシェフからも注目されており、年間生産量がわずか6トンという希少性から、代替不可能な食材として評価されています。半透明でホタテ貝ほどの大きさのパールミートは、甘みがあり、肉質はしっかりとしていながらも柔らかいのが特徴です。味はイカとロブスターの中間のような風味で、調理法によって様々な香りが楽しめます。アジアでは数世紀にわたり珍味として珍重されており、オメガ3脂肪酸を豊富に含むことから、薬理作用も期待されています。塩分が少なく、タンパク質が多く、トランス脂肪酸を含まないため、健康的な食材としても注目されています。また、ビタミンA、ビタミンE、カルシウム、鉄、亜鉛などの栄養素も豊富に含み、微量のヨウ素も含まれているため、代謝促進や甲状腺機能の活性化にも役立つとされています。

関連項目

* クロチョウガイ

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