シロヤシオ

シロヤシオ（白八汐）

シロヤシオ（学名: Rhododendron quinquefolium）は、ツツジ科ツツジ属に分類される落葉性の低木または小高木です。別名としてゴヨウツツジとも呼ばれ、その名の通り、枝先に5枚の葉が輪生状につくのが特徴です。日本国内では、本州の岩手県以南の太平洋側から四国にかけて分布しており、深山のブナ帯に自生します。時には直径数十センチメートルに達する大木に成長することもあります。

名称の由来

和名の「シロヤシオ」は、初夏に白い花を咲かせることに由来します。また、5枚の葉が特徴的なことから、ゴヨウツツジ（五葉躑躅）という別名も持っています。若木の樹皮が赤みを帯び、アカマツの幹に似ていることから、マツハダと呼ばれることもあります。その他、シロヤシオツツジとも呼ばれます。栃木県の県花であるヤシオツツジの一種でもあります。

形態と生態

シロヤシオは、落葉広葉樹の低木または小高木で、大きくなると高さ6メートルほどにもなります。樹皮は灰黒褐色から茶褐色で、老木になると亀甲状に剥がれます。若い枝は赤褐色から茶褐色で、無毛です。葉は枝先に5枚が輪生状につきます。

花期は5月から6月にかけてで、白色の大柄な花を咲かせます。花弁は浅い三角形をしており、花全体としてはやや五角形に見えます。大木に一面に咲く花は非常に美しいですが、花は葉の陰に隠れるように咲くため、遠くからは目立ちにくいです。また、花の咲く期間は短いという特徴もあります。

花芽は長卵形で、長さ1〜1.3センチメートルで、赤褐色の芽鱗に包まれており、細毛が見られます。葉芽は花芽よりもやや小さい紡錘形です。短枝の先に冬芽がつくこともあります。葉痕は三角形から半円形で、維管束痕が1つあります。

アケボノツツジとは近縁種です。

文化

敬宮愛子内親王のお印として、シロヤシオの花（公式表記は「ゴヨウツツジ」）が用いられています。

種の保全状況評価

シロヤシオは、以下の都道府県でレッドリストに指定されており、その保全が重要視されています。

絶滅危惧種（絶滅危惧I類、EN）: 長野県、愛媛県
危急種（VU）: 山梨県、兵庫県、徳島県
準絶滅危惧（NT）: 岩手県
その他: 東京都、福井県、滋賀県

参考文献

鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽：四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、75頁。ISBN 978-4-416-61438-9。

関連項目

ヤシオツツジ
* 木の一覧

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