シンクロナイズドモンスター
『シンクロナイズドモンスター』(原題: Colossal)は、2016年に
カナダと
スペインで製作された
SF映画です。ナチョ・ビガロンドが監督を務め、
アン・ハサウェイが主演しています。
ストーリー
主人公のグロリアは、職探し中のライターで
アルコール依存症に悩んでいました。度重なる問題行動が原因で、恋人のティムに別れを告げられ、
ニューヨークのアパートを追い出されてしまいます。故郷のニューハンプシャーに帰ったグロリアは、幼馴染のオスカーと再会します。オスカーは父親のバーを経営しており、グロリアの窮状を見かねて、店で働くことを提案します。
グロリアはオスカーの申し出に感謝し、働くことに決めますが、それがかえって彼女の依存症を悪化させることになります。閉店後、オスカーや友人たちと朝まで酒を飲む日々が続きます。ある日、酔って帰宅途中のグロリアは、公園のベンチで目を覚まします。同時期に、韓国のソウルに巨大怪獣が出現し、街を破壊し始めます。
グロリアは、自分が公園での癖の動きと怪獣の動きが連動していることに気づきます。さらに、公園の砂場での動きが怪獣の動きに影響を与えるという事実を発見します。この発見をオスカーに話しますが、信じてもらえず、実際に公園で動き回って見せることに。その時、オスカーが公園の遊び場に足を踏み入れた途端、ソウルに巨大ロボットが出現します。
ソウルの人々に申し訳なく思ったグロリアは、怪獣を操り、ソウルの地面に謝罪の言葉を書きます。この出来事は韓国のメディアで大きく取り上げられ、ソウル市民は安堵します。グロリアは本気で断酒に取り組むことを決意し、遊び場には絶対に入らないと誓います。
しかし、ジョエルとの会話後、帰宅しようとしたグロリアは、酔っ払ったオスカーが公園で動き回っているのを目撃します。オスカーは、グロリアとジョエルの仲に嫉妬し、ロボットを使ってソウル市内を破壊していたのです。抵抗するグロリアを振り切り、オスカーは「ソウル市民を人質にすれば、グロリアは僕の思いを受け入れるしかない」と考えるようになります。グロリアはオスカーの暴走を止めるため、ソウルへ行くことを決意します。
キャスト
グロリア -
アン・ハサウェイ(
甲斐田裕子)
オスカー -
ジェイソン・サダイキス(
堀内賢雄)
ティム - ダン・スティーヴンス(
北田理道)
ジョエル - オースティン・ストウェル(吉田健司)
ガース -
ティム・ブレイク・ネルソン(
長谷川敦央)
子供時代のグロリア - ハンナ・ケラミー
子供時代のオスカー - ネイサン・エリソン
マリー - ルキヤ・バーナード
アッシュ - アガム・ダルシ
製作
本作は、資金調達が難航する中、
アン・ハサウェイが最初に出演を快諾したことで企画が動き出しました。ハサウェイはスランプ状態にあった際、
ジョナサン・デミが開催した『フィールド・イン・イングランド』の上映会で感銘を受け、理想の作品像に合致する脚本を探していたところ、本作の脚本に出会いました。
2015年5月、撮影前にトラブルが発生しました。ヴォルテージ・ピクチャーズが、出資者向けの書類にゴジラの画像を無許可で使用したため、
東宝から訴訟を起こされました。その後、両社は和解に至りました。
主要撮影は、
2015年10月上旬にバンクーバーで始まり、同年11月25日に終了しました。本作ではモーションキャプチャーは一切使用されておらず、怪獣の動きは全てCGで表現されています。CGチームは、ハサウェイが演じる怪獣の動きを参考にして、怪獣の動きを作り上げました。ビガロンド監督は、怪獣の造型にはほとんど関与せず、CGチームに怪獣を身近に感じてもらいたかったと述べています。
公開
2016年9月9日、本作は第41回トロント国際映画祭でプレミア上映されました。その後、ネオンが配給権を獲得し、
2017年1月20日には
サンダンス映画祭で上映されました。
評価
本作は批評家から概ね好意的に評価されましたが、その奇抜な設定から酷評する批評家もいました。
映画批評サイト
Rotten Tomatoesでは、205件のレビューに基づき、批評家支持率80%、平均点は10点満点で7.1点となっています。サイト側は、「『シンクロナイズドモンスター』の奇抜さは観客を混乱させるかもしれないが、それに耐えた人は
アン・ハサウェイの演技と、ジャンルに囚われない作品の作りに価値を見出すだろう」と評価しています。また、
Metacriticでは、36件のレビューに基づき、加重平均値は70/100となっています。
『
ローリング・ストーン』誌の
ピーター・トラヴァースは、本作を4つ星評価で3つ星半とし、「必見だ」と述べました。一方、『
ニューヨーク・オブザーバー』誌のレックス・リードは、4つ星評価で星0とし、「理解不可能で見るに堪えない」と酷評しました。
外部リンク
公式ウェブサイト(英語)
シンクロナイズドモンスター - allcinema
Colossal - IMDb(
英語)
*
Colossal - Rotten Tomatoes(
英語)