シンディ・キロ

アルシオン・シンシア・キロ：マオリ初のニュージーランド総督

デイム・アルシオン・シンシア・キロ（Dame Alcyion Cynthia Kiro）は、1958年生まれのニュージーランドの公衆衛生学者であり、第22代ニュージーランド総督（2021年10月21日 - 現職）です。彼女はマオリ族の女性として初めてニュージーランド総督に選出され、その経歴は多岐にわたります。

生い立ちと教育

キロは1958年にファンガレイで、6人兄弟の長女として誕生しました。父親はイギリス系、母親はマオリ族というルーツを持ちます。幼少期には、マオリ族の伝統的な養子縁組制度「ファンガイ」に従い、オークランドにいる母方の祖父母に育てられました。ラザフォード高校を経て、マッセー大学で社会学を学び、その後オークランド大学で社会科学の学士号を取得しました。さらに、オークランド大学で経営学修士号も取得しています。

社会貢献とキャリア

キロは、教育と社会福祉の分野で多大な貢献をしてきました。1995年から2000年まで、母校のマッセー大学で社会科学の専属教授を務めました。2003年にはニュージーランドの児童委員に任命され、家庭裁判所に影響力を行使し、2007年の児童犯罪改正法で児童への体罰を禁じることに成功。この法律は世論の大きな関心を集めました。

その後、マッセー大学の准教授として学界に復帰し、公衆衛生学部長を務めました。2013年にはオークランド大学の副学長に就任。2020年10月には、ニュージーランド王立協会の最高責任者に任命され、2021年3月1日から11月29日までその職を務めました。

2012年には、社会科学の分野での功績が認められ、ニュージーランド公衆衛生協会から公衆衛生優秀賞を受賞。2021年の新年栄誉賞では、児童への教育・福祉政策への貢献が評価され、ニュージーランド・メリット勲章を授与されました。

ニュージーランド総督として

2021年5月24日、当時のジャシンダ・アーダーン首相の推薦を受け、第22代ニュージーランド総督に内定しました。同年10月19日にはエリザベス2世とオンラインで謁見し、10月21日に旧立法評議会議場でヘレン・ヴィンケルマン最高裁判所長官によって総督就任式が執り行われました。新型コロナウイルス感染症の影響で、式典は小規模で行われました。

2022年9月8日、エリザベス2世の逝去に際し、哀悼の意を表明。同年9月19日には、アーダーン首相と共にニュージーランド代表としてウェストミンスター寺院で行われたエリザベス2世の国葬に参列するため訪英しました。

2023年1月には、アーダーン首相の辞任を受諾し、1月25日にクリス・ヒプキンスを首相に任命。同年11月27日には、ヒプキンス内閣総辞職後に発足したクリストファー・ラクソンを首相に任命しました。

アルシオン・シンシア・キロは、マオリ族の代表として、また公衆衛生の専門家として、ニュージーランド社会に多大な貢献を続けています。彼女のリーダーシップは、ニュージーランドの未来を照らす灯台となるでしょう。

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