シンメトリカルAWD

シンメトリカルAWD（SAWD）の概要

シンメトリカルAWD（Symmetrical All Wheel Drive）は、日本の自動車メーカーであるSUBARU（スバル）が開発した、常時4輪駆動システムです。この技術は、運転の安定性や操縦性を高めることを目的としており、スバル車のほとんどに標準装備されています。

シンメトリカルな構造

SAWDの最大の特徴は、そのシンメトリックなレイアウトです。水平対向エンジンは、縦方向に配置され、左右対称の駆動列からなっています。この対称的な設計により、車両の重心が低く保たれ、理想的な重量配分が実現されます。これによって、ハンドリング性能が向上し、安全な運転が可能です。1966年からスバルはこのAWD技術を国際市場で提供し、特にレガシィやフォレスターなどのモデルに広く採用されています。例外として、後輪駆動のBRZや軽自動車はSAWDを搭載していません。

歴史と発展

SAWDの歴史はさかのぼると、1972年に初めて第1世代レオーネ エステートバン向けにパートタイム4WDシステムとして導入されたのが始まりです。その後、1986年には初めて常時AWDシステムがレオーネ クーペRX-IIに搭載され、1987年にはアルシオーネに電子制御型のアクティブトルクスプリットAWDが導入されました。1991年に初めて可変トルク配分方式（VTD）が搭載され、1998年にはビークルダイナミクスコントロール（VDC）が追加され、運転制御がさらに強化されました。

システムのバリエーション

スバルのAWDシステムは、さまざまなバリエーションが存在します。例えば、ビスカスLSD付センターデフ方式やアクティブトルクスプリットAWD（ACT-4）、さらに不等・可変トルク配分電子制御AWD（VTD-AWD）などがあります。特にアクティブトルクスプリットAWDは、運転の状況に応じてトルクの配分を調整することができ、スロットルやトランスミッションセンサーの情報を元にリアルタイムで変更されます。

WRX STIとX-MODE

スバルのスポーツモデルWRX STIは、特にマルチモードドライバーズコントロールセンターデフ（DCCD）AWDシステムを採用しています。このシステムは、トルク配分を前41%・後59%に調整することが可能で、ドライバーが好みの設定に合わせて操作できます。また、X-MODEを搭載したモデルでは、オフロード走行時の性能を向上させるための各種アシスタンス機能が自動で作動し、難しい走行条件でもスムーズに走行できます。

電気自動車のシンメトリカルAWD

最近では、スバルがトヨタ自動車と共同で開発した電動SUVソルテラもシンメトリカルAWDを採用しています。このモデルは、前後にモーターを配置した四輪駆動システムが特徴で、スバルはデファレンシャルギアの配置にシンメトリカル形状を追求しました。これにより、高い直進安定性が実現されています。

まとめ

シンメトリカルAWDは、その独自の設計と多様なバリエーションにより、安定した走行と優れた操縦性を提供します。スバルはこの技術を通じて、ユーザーに安全で快適なドライブ体験を届けています。

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