シーザーとクレオパトラ

映画『シーザーとクレオパトラ』について

『シーザーとクレオパトラ』（原題：Caesar and Cleopatra）は、1945年に公開されたイギリス映画で、ジョージ・バーナード・ショーの同名戯曲を映画化した作品です。主演はクロード・レインズとヴィヴィアン・リーが務め、監督はガブリエル・パスカルが担当しました。この映画は、ショー自身が脚本を手掛けたことでも知られています。

作品の特徴

バーナード・ショーの原作に基づいていますが、1963年の『クレオパトラ』のような重厚な歴史スペクタクルとは異なり、ヴィヴィアン・リーにとっては珍しいコメディタッチの作品となっています。この作品は、テクニカラーの大作として製作され、1950年には日本でも公開されました。また、1973年にはフジテレビの『スペシャル洋画劇場』でテレビ放送もされています。

キャスト

シーザー：クロード・レインズ（吹替：久米明）
クレオパトラ：ヴィヴィアン・リー（吹替：上田みゆき）
フタタチータ：フローラ・ロブスン
ポチナス：フランシス・サリヴァン
ルフィオ：バジル・シドニー
アポロドラス：スチュワート・グレンジャー
ブリタナス：セシル・パーカー

スタッフ

監督・製作：ガブリエル・パスカル
製作総指揮：J・アーサー・ランク
原作・脚本：ジョージ・バーナード・ショー
音楽：ジョルジュ・オーリック
撮影：ジャック・カーディフ、ジャック・ヒルドヤード、ロバート・クラスカー、フレディ・ヤング
編集：フレデリック・ウィルソン
美術：ジョン・ブライアン、オリヴァー・メッセル
衣装・装置：オリヴァー・メッセル

製作の背景

1941年、ヴィヴィアン・リーはバーナード・ショーの戯曲『シーザーとクレオパトラ』と『医師のジレンマ』の舞台出演の話を同時に持ちかけられました。クレオパトラ役を熱望していたリーは、まず舞台で上演してから映画化の話を進めようとしましたが、プロデューサーのガブリエル・パスカルは当初興味を示しませんでした。しかし、ヴィヴィアン・リー主演での映画化は承諾しました。ただし、配役にはショー自身の承認が必要でした。

リーは『医師のジレンマ』の舞台を成功させ、ショーを満足させればクレオパトラ役も認められると考えました。『医師のジレンマ』は大成功し、地方公演を含め長期間上演されました。その後、ショーを訪ねたリーは、クレオパトラについて一言も触れず、ショーはリーにクレオパトラ役をオファーしました。この作品には、ジーン・シモンズ、ロジャー・ムーア、ケイ・ケンドールも端役で出演しています。

撮影中の苦難

1944年7月12日に撮影が開始されました。撮影現場を訪れたショーは、映画の製作費が巨額になることを懸念していました。実際、この映画は当時英国で最も費用のかかった作品となりました。

撮影前、ヴィヴィアン・リーは体調を崩していましたが、北アフリカへの慰問に参加。体調は回復したものの、体重が7kgも減少していました。その後、妊娠が発覚しましたが、リーは医師の忠告を無視して撮影を強行。撮影中に体調を崩し、流産してしまいました。この撮影後、ヴィヴィアン・リーは最初の双極性障害の発作に見舞われ、精神的にも大きな苦痛を味わうこととなりました。

エピソード

映画公開前には、この映画のメイキング本『MEETING AT THE SPHINX』が出版されました。ヴィヴィアン・リーは、1951年に舞台で再び『シーザーとクレオパトラ』を演じています。この時はシェイクスピアの『アントニーとクレオパトラ』との日替わり公演で、両作品でクレオパトラを演じました。シーザーとアントニーは、当時の夫ローレンス・オリビエが演じ、イギリスとアメリカで大成功を収めました。

受賞歴

アカデミー賞ノミネート：美術賞（カラー）：ジョン・ブライアン
カンヌ映画祭ノミネート：作品賞（グランプリ）

参考文献

アン・エドワーズ 著、清水俊二 訳『ヴィヴィアン・リー』文春文庫、1985年

外部リンク

シーザーとクレオパトラ - allcinema
シーザーとクレオパトラ - KINENOTE
Caesar and Cleopatra - オールムービー（英語）
Caesar and Cleopatra - IMDb（英語）
シーザーとクレオパトラ - Rotten Tomatoes（英語）
シーザーとクレオパトラ - TCM Movie Database（英語）

もう一度検索