シーナ (歌手)

シーナ (SHEENA)

シーナ（本名：鮎川 悦子）は、日本の音楽シーンで重要な役割を果たした女性ロック歌手です。1953年11月23日、福岡県若松市（現在の北九州市若松区）に生まれました。彼女は「シーナ&ザ・ロケッツ」というロックバンドのボーカルとして知られ、夫であるギタリストの鮎川誠と共に結成しました。その音楽スタイルは、特に70年代のパンクやニュー・ウェイヴの影響を受けたもので、独自の魅力を持っています。

生い立ちと音楽への情熱

シーナは、父がダンスホールの経営者であったことから、子供の頃から様々なダンスに親しみました。虚弱児として育った彼女は体を鍛え、中級生時代には陸上部で活躍するまでに成長しました。また、彼女は小学校の卒業アルバムに「歌手になって世界中を回りたい」と書くほど音楽に強い憧れを抱いていました。

中学時代は、自分の自由を求めて何度も家出を繰り返す「夢見る家出少女」としての一面もありました。1971年には、家出がきっかけで鮎川誠との運命的な出会いを果たし、後の結婚へとつながりました。

音楽キャリアの始まり

1978年、彼女は鮎川のバンドが解散する際、レコーディングスタジオで突如として歌唱の機会を得ました。この経験が彼女の歌手としての夢を蘇らせ、同年に「シーナ&ザ・ロケッツ」としてデビューすることになります。デビュー曲は『涙のハイウェイ』で、当時の音楽シーンに新風を巻き起こしました。

シーナはその独特なスタイルとエネルギーで、多くのファンを魅了し続けます。1980年には、ロサンゼルスの大手レコード会社から英語版のアルバムをリリースし、国際的な評価を受けることになります。

業績と影響

シーナは1982年にソロアルバム『いつだってビューティフル』を発表し、さらにキャッチーな作詞でも知られるようになりました。2004年には、故郷の北九州で初のロックフェスティバル「高塔山ロックフェス」を立ち上げ、その後11年間にわたり参加するなど、地域の音楽シーンの振興にも貢献しました。

シーナはロックだけでなく、テレビドラマへの出演や、雑誌への登場など、幅広いメディアにも登場し、多彩な才能を発揮しました。

健康問題と後半生

しかし、シーナは2009年に声帯の大病を患い、手術を受けることになります。奇跡的に復帰した彼女は、同年には新たなライブを企画し、積極的に音楽活動を続けました。しかし、2014年に子宮頸がんのステージIVが発覚し、2015年2月14日、61歳の若さでこの世を去ってしまいました。彼女の死は多くのファンに衝撃を与えました。

影響を受けた人々と遺志

シーナの音楽は、様々なアーティストに影響を与え、現在もその存在感を示し続けています。彼女の夫である鮎川誠は、彼女の遺志を引き継ぎ、「シーナ&ザ・ロケッツ」として活動を続けています。シーナの娘たちも音楽界で活躍をしており、彼女の影響が次の世代に受け継がれているのです。一般的に彼女は、日本における女性ロックボーカリストの先駆者として位置付けられています。シーナの存在は、今後も多くの人々に勇気やインスピレーションを与え続けていくことでしょう。

もう一度検索