シーヴス・ライク・アス

ニュー・オーダーの隠れた名曲「シーヴス・ライク・アス」：その魅力と歴史を紐解く

1984年、イギリスを代表するバンド、ニュー・オーダーは、彼らの音楽的探求を象徴するシングル「シーヴス・ライク・アス (Thieves Like Us)」を発表しました。この曲は、単なる楽曲以上の存在感を持ち、バンドの歴史、そして80年代音楽シーンの一端を垣間見せてくれます。

アーサー・ベイカーとの共作：サウンドの融合

前作「コンフュージョン」に続く、ニューヨークの著名DJ、アーサー・ベイカーとの共同制作という点が「シーヴス・ライク・アス」の大きな特徴です。前作がエレクトロヒップホップの影響を強く受けた楽曲だったのに対し、「シーヴス・ライク・アス」はシンセサイザーを前面に押し出した、ミディアムテンポの、より洗練されたサウンドに仕上がっています。ベイカーの貢献は楽曲の制作においても大きく、クレジットにも彼の名前が記載されています。この共同作業によって、ニュー・オーダーのサウンドに新たな広がりと深みが増したと言えるでしょう。

カップリング曲「ロンサム・トゥナイト」：異なる一面

カップリング曲として収録された「ロンサム・トゥナイト (Lonesome Tonight)」は、アーサー・ベイカーが制作に関与していない、ニュー・オーダー単独の作品です。「シーヴス・ライク・アス」とは対照的な、バンドの別の側面が垣間見える楽曲と言えるでしょう。この対比が、シングルの魅力をさらに引き立てています。

日本におけるリリースと邦題「夢盗人」

日本では、当時ファクトリー・レコードの販売を行っていた日本コロムビアから「夢盗人」という邦題で12インチシングルがリリースされました。この邦題は日本コロムビア盤限定のもので、後のリリースでは使用されていません。この邦題が、日本のリスナーにどのように受け止められたのか、また、このタイトルが楽曲のイメージにどのような影響を与えたのか、興味深い点です。

関連シングル「マーダー」とインストゥルメンタル・バージョン

「シーヴス・ライク・アス」のリリースとほぼ同時期に、ファクトリーとベルギーのクレプスキュール・レーベルとの共同レーベルであるファクトリー・ベネルクスから、12インチ・シングル「マーダー (Murder)」がリリースされました。「マーダー」自体はインストゥルメンタル楽曲ですが、このシングルには「シーヴス・ライク・アス」のインストゥルメンタル・バージョンも収録されています。このインストゥルメンタル・バージョンは、後のベストアルバム『サブスタンス』にも収録され、楽曲の幅広い可能性を示しています。

映画『プリティ・イン・ピンク』との関わり

1986年の青春映画『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角|プリティ・イン・ピンク_恋人たちの街角』で、「シーヴス・ライク・アス」のインストゥルメンタル・バージョンが使用されたことは、この楽曲の知名度をさらに高めました。主演のモリー・リングウォルドがニュー・オーダーの大ファンだったというエピソードも、この映画と楽曲との繋がりをより強く印象付けるものとなっています。さらに、同映画のサウンドトラックには、ニュー・オーダーの新曲「シェルショック」も提供されています。

まとめ：時代を超えて愛される名曲

「シーヴス・ライク・アス」は、単なるシングルとしてだけでなく、ニュー・オーダーの音楽性、そして80年代の音楽シーンを代表する一曲として、その価値を高めています。アーサー・ベイカーとのコラボレーション、魅力的なカップリング曲、そして映画との意外な繋がりなど、様々な要素が絡み合い、この楽曲をより深く、そして魅力的にしています。そのサウンドは時代を超えて聴く人の心を捉え、ニュー・オーダーの音楽史における重要な一ページを飾っていると言えるでしょう。

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