ジェイソン・リー (伝道師)

ジェイソン・リー

ジェイソン・リー（英: Jason Lee、1803年6月28日 - 1845年3月12日）は、現在のカナダ、ケベック州スタンステッド近郊の農園で生を受けたアメリカ合衆国の伝道師であり、オレゴン・カントリーの開拓者としても知られています。彼はオレゴン宣教師団の最初のメンバーとしてこの地に足跡を残し、後にオレゴン準州となる地域の暫定政府の初期的な枠組みを築く上で重要な役割を果たしました。

初期経歴と信仰

リーは地元の村の学校で学び、13歳を迎える頃には自立した生活を始めていました。人生の転機となったのは、メソジストへの改宗です。この信仰的経験を経て、彼はウィルブラハム・アカデミーに入学し、1830年に卒業しました。卒業後の1830年から1832年にかけては、故郷のスタンステッド地域で牧師を務める傍ら、学校で教鞭をとるなど、教育者としての顔も持っていました。

オレゴンでの伝道活動開始

彼の人生の大きな転換点は、1833年にフラットヘッド族インディアンへの伝道団のリーダーに選ばれたことです。この任命は、フラットヘッド族の使者がミズーリ州セントルイスを訪れ、「神の書」をもたらす人物の派遣をクラーク将軍に懇願したことに応じる形で行われました。リーは甥のダニエル・リーを含む一行を率い、探検家のナサニエル・ワイエスの隊と共に、山岳地帯を越える困難な旅に出ました。一行は翌1834年、ハドソン湾会社の重要な拠点であったバンクーバー砦に到着しました。

当初、伝道所を設置する候補地として選ばれた場所は、健康上の問題から放棄せざるを得ませんでした。その後、彼らは現在のオレゴン州セイラムの北西に位置する、豊かなウィラメット川沿いの地に入植地を定めました。ここでリーは、かつてハドソン湾会社で働いていた十数人のカナダ人開拓者たちが、先住民族の女性と結婚して定住するのを支援しました。

開拓地の組織化と教育への貢献

伝道活動と並行して、リーは開拓地の経済活動や政治的な組織化にも深く関わりました。1837年初頭には、ハドソン湾会社が独占していた地域の牛供給に対抗するため、ユーイング・ヤングと共にウィラメット牛会社を設立し、出資者の一人となりました。彼は会社の牛を購入するための航海に船で向かいましたが、実際に船でカリフォルニアまで航海することはなかったようです。

リーはまた、オレゴン・カントリーの政治的な安定と発展のために積極的に活動しました。1836年および1837年には、将来の準州政府設立を目指す請願書の作成に貢献しています。1838年には、これらの請願書を合衆国政府に届けるため、東部への旅に出ました。その道中、ワラワラ砦に近いホイットマン伝道所に立ち寄り、先駆的な伝道師であったマーカスとナルシーサのホイットマン夫妻と会談しています。ワシントンD.C.に到着したリーは、請願書の提出を果たしました。

1830年代を通して、リーはオレゴン各地に伝道所を増やしていきました。そして次第に、単なる伝道だけでなく、開拓地をアメリカ合衆国と連携する形で組織化していくことに重点を置くようになります。1841年から1843年にかけてシャンポーグで開催された、地域の組織化に向けた予備的な会合では議長を務め、暫定政府の設立を強く提唱しました。

教育の振興にも熱心で、オレゴン・インスティチュート（現在のウィラメット大学の前身）設立に向けた計画を策定するなど、将来を見据えた活動を行いました。しかし、先住民族への教育に関する方針などを巡って、宣教師団内部で問題が生じたため、1844年にはニューヨークにあるメソジスト教会の本部に召還されることとなりました。

死と遺産

本部への召還後、リーは故郷のスタンステッドで姉妹を訪ねている最中に健康を害しました。そして、1845年3月12日、41歳でその生涯を閉じました。彼の遺体は一旦埋葬されましたが、1906年にはオレゴン州セイラムのリー宣教団墓地に移され、安らかに眠っています。

彼の功績は今日まで語り継がれています。1841年に彼が使用していた家屋は、現在、ミッションミル博物館の一部として保存されています。1953年には、オレゴン州から彼の功績を讃える青銅像が寄贈され、ワシントンD.C.にあるアメリカ合衆国議会議事堂の国立彫像ホール・コレクションに収められています。また、ワシントン州リッチランドとオレゴン州ポートランドの小学校、およびワシントン州バンクーバーの中学校が、彼の名にちなんで命名されています。ジェイソン・リーは、オレゴンの初期開拓と組織化における重要な人物として、その名を歴史に刻んでいます。

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