ジェイ・ウォーリー・ヒギンズ

J・W・ヒギンズ：戦後日本の鉄道を彩る写真家

J・W・ヒギンズ氏（1927年生まれ）は、アメリカ空軍の軍人としての経歴を持ち、現在では日本の鉄道界において、写真家、著作家、そしてJR東日本顧問として多大な貢献をしている人物です。ニュージャージー州出身で、ミシガン大学卒業後にアメリカ空軍に入隊。第二次世界大戦後、1956年に軍属として来日し、以降日本を拠点に活動しています。

写真家としての軌跡：日本の鉄道風景を記録する

ヒギンズ氏の注目すべき点は、戦後日本の鉄道風景を克明に記録した膨大な写真コレクションです。在日米軍勤務時代から、日本全国各地の鉄道を撮影。その範囲は、大手私鉄からローカル線、さらには森林鉄道まで多岐に渡り、日本の鉄道網の多様性を鮮やかに捉えています。

特筆すべきは、当時の高価なカラーフィルム、それも高品質で耐変色性に優れたコダクロームを使用していた点です。1950年代から積極的にカラー撮影を行い、現在では6,000枚を超えるカラー写真コレクションを所有しています。これらの写真は、日本の鉄道史研究において極めて貴重な資料となっています。

また、ヒギンズ氏は写真家としての活動にとどまらず、『鉄道ピクトリアル』への投稿など、積極的に鉄道文化に貢献してきました。高度経済成長期に、日本の鉄道が急速に発展していく様子を、鮮やかなカラー写真を通して記録してきたのです。

著述活動：日本の鉄道史に貢献

写真撮影のみならず、ヒギンズ氏は数々の著作を発表し、日本の鉄道史研究にも大きく貢献しています。特に『発掘カラー写真 昭和30年代鉄道原風景』シリーズは、その代表作として知られています。これらの著作は、当時の鉄道の姿を伝える貴重な資料として、高い評価を受けています。

受賞歴：高い評価と功績

ヒギンズ氏の功績は高く評価されており、数々の賞を受賞しています。2007年には日本写真協会より日本写真協会賞特別賞を受賞。2017年には鉄道友の会より島秀雄記念優秀著作賞特別部門を受賞するなど、写真家、著作家としての両面から大きな功績を残しています。これらの受賞は、ヒギンズ氏の日本の鉄道文化への貢献が広く認められた証と言えるでしょう。

JR東日本顧問としての活動

現在、ヒギンズ氏はJR東日本の国際部顧問を務めています。長年にわたる日本の鉄道への深い造詣と、豊富な経験を活かし、国際的な視点から日本の鉄道発展に貢献していると考えられます。

まとめ：日本の鉄道文化におけるレジェンド

J・W・ヒギンズ氏は、アメリカ空軍という異色の経歴を持ちながら、戦後日本の鉄道風景を長年にわたり記録し、その魅力を世界に発信し続けてきた人物です。写真家、著作家、そしてJR東日本顧問としての活動を通して、日本の鉄道文化に多大な貢献を果たし、日本の鉄道史に名を刻むレジェンド的存在と言えるでしょう。彼の残した写真や著作は、未来の世代へと日本の鉄道遺産を伝えていく上で、貴重な財産となるに違いありません。

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