ジェネシスI

ジェネシスI：民間初の宇宙ステーションモジュール

ジェネシスIは、アメリカの民間企業ビゲロー・エアロスペース社によって設計・製造された実験的な宇宙ステーションです。2006年に打ち上げられ、企業が軌道に投入した世界初の宇宙ステーションモジュールとなりました。このプロジェクトは、長期的な宇宙居住の実現可能性を検証するため、様々なシステム、材料、技術の試験を行うことを目的としています。ジェネシスIの設計は、NASAのトランスハブの設計を基にしています。

歴史

ジェネシスIは、2006年7月12日にロシアのドンパロフスキー射場からドニエプルロケットで打ち上げられました。打ち上げは成功し、軌道投入後にはビゲロー・エアロスペースによる制御が可能となりました。モジュールは、同社のBA 330の3分の1のサイズで設計されており、軌道上での展開後のサイズは、長さ4.4m、直径2.54m、内部居住体積11.5m3です。打ち上げ時には直径1.6mに収縮しており、軌道上で約10分かけて膨張しました。

2006年12月には、太陽嵐の影響で大量の放射線を浴びましたが、システムの再起動は成功し、2007年3月時点での追加の損傷は確認されていません。2008年5月8日には、打ち上げから660日後に1万周回を達成し、地球と月の間を1154往復する距離に相当する4億3000万km以上を飛行し、7大陸を含む1万4000枚以上の写真を撮影しました。打ち上げ以来、電子装置は正常に機能し続けています。

システム

ジェネシスIは、両端に4枚ずつ、計8枚のヒ化ガリウム太陽電池パネルを備え、合計1キロワットの電力を生成し、26ボルトの電圧を供給します。また、13台のカメラを搭載しており、そのうち7台は外部の本体外層や太陽電池などの物理状態を監視し、残りの6台は内部で実験や観測のための撮影を行います。内部の気圧は51.7kPaに保たれており、受動的な温度制御によって気温は4.5℃から32℃の間で平均26℃に維持されます。モジュールの膨張システムには1つのガスタンクが使用され、姿勢制御はトルクロッド、太陽センサー、GPS、磁気センサーによって行われています。

ペイロード

ジェネシスIには、飛行に必要なシステムや機器の他に、様々な荷物が積み込まれました。ビゲロー・エアロスペースの職員が、写真、玩具、カードなどを持ち込みました。生物学関連の実験装置として、マダガスカルヒッシングコックローチやメキシコトビマメなども搭載されました。さらに、NASAが将来のGeneSatミッションで使用するシステムの試験用として、GeneBoxと呼ばれる装置も積載されました。GeneBox自体には生物は入っていませんが、将来的に無重力が遺伝子、細胞、微生物の遺伝に与える影響をセンサーなどを用いて調査する予定です。

関連項目

ビゲロー・エアロスペース
ジェネシスII
* BA 330

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