ジェフ・マシス

ジェフ・マシス：記録に残る守備の名手、記憶に残る打撃の苦闘

ジェフリー・スティーブン・マシス（Jeffrey Stephen "Jeff" Mathis, 1983年3月31日 - ）は、アメリカ合衆国フロリダ州出身の元プロ野球選手。卓越した守備力でチームに貢献する一方、打撃では苦戦を強いられた、記憶に残る捕手です。

プロ入りとエンゼルス時代

2001年のMLBドラフトでアナハイム・エンゼルスから1巡目指名を受けプロ入り。マイナーリーグでは順調に成長し、2005年にメジャーデビューを果たします。当時のマイク・ソーシア監督も、マシスの潜在能力に大きな期待を寄せていました。

2008年には、正捕手の故障により出場機会が増加。打率こそ2割に満たなかったものの、守備面では高い能力を発揮しました。特に、ボールブロック技術や、捕手防御率、盗塁阻止率などの数値で、正捕手を上回る成績を残し、守備型捕手としての地位を確立します。

しかし、2010年に手首を骨折。復帰後も、打撃・守備ともに調子を崩し、正捕手争いから一歩後退します。2011年オフにトロント・ブルージェイズへ移籍。

ブルージェイズ、マーリンズ時代

ブルージェイズでは、控え捕手として出場。2012年には2試合で投手としても登板しています。その後、マイアミ・マーリンズへ移籍し、2013年には自己最多に近い73試合に出場。打率は低かったものの、堅実な守備でチームを支えました。2016年までマーリンズでプレーし、その後、アリゾナ・ダイヤモンドバックスへ移籍します。

ダイヤモンドバックス、レンジャーズ、そしてブレーブスへ

ダイヤモンドバックスでは、2018年に投手として登板する珍しい経験もしました。同年、守備の名手に贈られるフィールディング・バイブル・アワードを受賞し、守備力の高さを改めて証明しました。

2018年オフにテキサス・レンジャーズと契約。2021年にはアトランタ・ブレーブスとマイナー契約を結び、メジャー昇格も果たしましたが、同年限りで現役を引退しました。

選手としての特徴：光る守備、苦闘の打撃

マシスの最大の武器は、卓越した守備力でした。フレーミングやボールブロックに優れ、捕手としての総合的な能力は高く評価されていました。特に、配球の読み（リード）に関しては、チームの投手やコーチから絶大な信頼を得ていました。しかし、客観的に評価できる指標が確立されていないため、データでその貢献度を示すことが難しい選手でもありました。

一方で、打撃は大きな課題でした。通算打率は2割を下回り、MLBのワーストランキング上位に名を連ねるほど。そのため、「史上最低の打者の一人」と評されることもありました。

ジェフ・マシスは、記録に残る守備の名手として、そして記憶に残る打撃の苦闘者として、ファンの心に深く刻まれている選手です。

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