ジェリーの宇宙飛行士

ジェリーの宇宙飛行士：猫がいない宇宙を目指して

1962年公開の『ジェリーの宇宙飛行士』（原題：Mouse into Space）は、トムとジェリーシリーズの中でも人気の高い作品の一つです。監督はジーン・ダイッチが務め、猫とネズミのいつものユーモラスなやり取りに加え、宇宙という壮大な舞台設定が物語にスパイスを加えています。

物語は、ジェリーが宇宙に関する本『アストロマウス』を読んでいるところから始まります。宇宙には猫がいないという記述に目をつけたジェリーは、宇宙飛行士になることを決意します。一方、トムはジェリーの行動を邪魔しようとしますが、ジェリーの決意は固く、トムの妨害をものともせずに宇宙センターへと向かいます。

宇宙センターでは、ジェリーは見事審査を通過します。一方、ジェリーを探してさまよっていたトムは、疲労困憊のあまり、偶然見つけた土管の中で眠ってしまいます。しかし、その土管はなんとロケットの燃料供給ホースだったのです。

ジェリーを乗せたロケットが打ち上げられると、トムはロケット内部に閉じ込められてしまいます。激しい振動と炎の中、必死に脱出したトムは、今度は宇宙船内に侵入しようとします。しかし、ジェリーを見つけると興奮したトムは、誤って操作パネルを踏み、宇宙船を制御不能に陥れてしまいます。

宇宙空間に放り出されたトムは、他の宇宙船にしがみつき、中を覗いてみると、そこにはブルドッグの宇宙飛行士がいました。その後、宇宙ゴミと衝突して大気圏に突入することになるトム。一方、ジェリーは無事地球に帰還し、トムに宇宙飛行士バッジを見せびらかします。トムはバッジにライターで火をつけると、なんとバッジから小さなロケットが発射されました。トムは、再び宇宙を目指すジェリーを見送るように家を出ていきました。

この作品では、トムとジェリーのコミカルなやり取りに加え、当時の冷戦時代の雰囲気も subtly に反映されています。他国の宇宙飛行士として登場するブルドッグは、ソ連を思わせるデザインとなっています。

登場人物

トム: ジェリーに宇宙へ行くことを邪魔され、寂しさからジェリーを探し回ります。偶然ロケットの燃料ホースの中で眠ってしまい、ロケットに乗って宇宙へ。ジェリーの宇宙船に侵入しますが、誤って操作し、宇宙空間に放り出されます。最後にジェリーの成功を目の当たりにし、家出します。
ジェリー: 宇宙へ行くことを決意し、トムの妨害を無視して宇宙センターへ。見事宇宙飛行士となり、宇宙旅行を楽しんだ後、地球へ帰還。トムに宇宙飛行士バッジを見せつけ、トムの家出を促します。
ブルドッグ宇宙飛行士: 赤い星のヘルメットをかぶった、他の国の宇宙飛行士。トムが宇宙船に侵入した際に登場します。
ロケット燃料積載タンクローリーの運転手: ロケット燃料を供給する際に、土管の中で眠っていたトムに気づきません。
宇宙センターの職員: ジェリーを審査し、ロケットの発射に関わります。「ネズミ専用の入口」があるなど、ユーモラスな描写も見られます。

日本での放映

日本ではTBS系などで1964年から1990年頃まで、繰り返し放映されました。多くの人々の記憶に残る、名作アニメーションの一つと言えるでしょう。

関連作品

トムとジェリーシリーズ

もう一度検索