ジェローム・ベティス

ジェローム・ベティス：巨漢RB「ザ・バス」の伝説

ジェローム・ベティス（Jerome Bettis）は、1972年2月16日生まれ、ミシガン州デトロイト出身の元NFL選手です。ランニングバック（RB）として、セントルイス・ラムズとピッツバーグ・スティーラーズで活躍しました。その巨体でディフェンスをなぎ倒すプレースタイルから「ザ・バス」という愛称で親しまれ、NFL屈指の人気を誇りました。

身長180cm、体重110kg（2006年スーパーボウル時）という恵まれた体格に加え、強靭な脚力と巧みなボールコントロールを武器に、数々の記録を打ち立てました。背番号は36番。故郷デトロイトのフォード・フィールドで行われた第40回スーパーボウル優勝を最後に、現役を引退しました。引退時のラッシング記録は、NFL歴代5位（当時）となる13,662ヤードでした。

生い立ちと大学時代

ベティスは3人兄弟の末っ子として育ち、高校時代にはアイスホッケーも経験しました。ノートルダム大学に進学すると、ランニングバックとしての才能を開花させます。大学時代は337回のキャリーで1回あたり5.7ヤード、通算1912ヤードを走破しました。

NFLでの活躍

1993年のNFLドラフトで、ロサンゼルス・ラムズから1巡目全体10位で指名され入団。1年目から1429ヤードを走り、最優秀新人攻撃選手に選ばれるなど、その実力をいかんなく発揮しました。1994年にも1000ヤードラッシャーとなるなど、ラムズの中心選手として活躍しましたが、1995年にヘッドコーチが交代すると、チームはパス中心の攻撃へとシフトしていきます。

1996年、ベティスはピッツバーグ・スティーラーズへトレードされます。このトレードは、スティーラーズにとって非常に有利なものとなりました。ベティスはスティーラーズでその才能をさらに開花させ、1996年から2001年まで6年連続で1000ヤードラッシャーとなりました。そのうち3シーズンは1300ヤード以上を走破しています。

2001年シーズン途中にはリーグトップの1072ヤードを走っていましたが、負傷により残りのシーズンを棒に振りました。その後、成績は一時的に低迷するものの、2004年には再びその実力を発揮。デュース・ステイリーに先発の座を奪われたものの、ステイリーの負傷後には8試合中6試合で100ヤード以上を獲得する活躍を見せ、6度目のプロボウルに選出されました。

スーパーボウル制覇と引退

2005年、ベティスはショートヤーデージ用のRBとして起用されました。最終週には、地元ピッツバーグで行われたデトロイト・ライオンズ戦（彼にとってピッツバーグでの最後の試合）で3TDをあげる活躍を見せ、チームはプレーオフにAFC第6シードで進出。インディアナポリス・コルツとのディビジョナルプレーオフでは、ファンブルを喫するものの、チームは辛くも勝利を収めました。

そして、スティーラーズの一員として、ついに故郷デトロイトでの第40回スーパーボウルに出場。シアトル・シーホークスを21-10で破り、見事優勝を果たしました。優勝後のインタビューでは、自身の愛称「ザ・バス」をもじって「"The Bus' last stop is here in Detroit."（バスの終点はここ、デトロイトだ）」と発言し、現役引退を表明しました。

引退後

引退後は、NBCスポーツやNFLネットワークでコメンテーターを務めるなど、多方面で活躍しています。また、ピッツバーグにレストラン「Jerome Bettis' Grille 36」をオープンするなど、実業家としての顔も持っています。

エピソード

1998年11月26日のサンクスギビングデーのデトロイト・ライオンズ戦、オーバータイムでのコイントスで誤審により敗れたというエピソードがあります。この一件を受け、NFLはコイントスのルールを変更しました。

人物像

ベティスは、パワーで相手タックルの間を突進するプレースタイルで多くのファンを魅了しました。両親はほとんどの試合を観戦しており、父親は息子のスーパーボウル優勝を見届けた後、2006年に心臓発作で亡くなりました。

ジェローム・ベティスは、その圧倒的なパワーと愛されるキャラクターで、NFLの歴史に名を刻んだ偉大なランニングバックです。

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