ジェンダー社会規範指数

ジェンダー社会規範指数（GSNI）とは

ジェンダー社会規範指数（Gender Social Norms Index, GSNI）は、男女間の社会的なルールや通念が、いかにジェンダー平等を妨げているかを示す指標です。この指数は、国連開発計画（UNDP）によって算出されており、世界価値観調査のデータを基にしています。GSNIは、政治や労働、教育など、さまざまな分野における社会的制約を意識的に測定することを目的としています。

GSNIの計算方法

GSNIは、75カ国以上を対象としたデータから構成され、これにより世界全体の約80%の人口をカバーしています。指標は、4つの主要分野—政治、経済、教育、健康—に関連した設問に基づいて算出されます。具体的には、対象者が特定の設問に対してどのようなバイアスを持っているかを測定し、「一つでもバイアスのある回答をした割合」、「バイアスの無い回答をした割合」、「2つ以上に偏見を示した割合」などを算出します。

この指標は初めて2020年に公表され、2023年には新たなデータを用いた第2回の報告が行われました。これにより、世界のジェンダーに関する見解の変化を把握することが可能になりました。

設問とスコア

GSNIにおける設問は、以下の7つの基準に応じて回答が評価されます。各設問は、社会的・文化的に男女に対する期待や偏見を探るものであり、これに答えた人々の中でどれだけの割合が偏見を持っているかが示されます。これらの設問から導き出される指標には:
1. バイアスを持つ人の割合
2. バイアスを示さなかった人の割合（No Bias）
3. 少なくとも一つにバイアスのある人の割合（GSNI）
4. 少なくとも二つにバイアスのある人の割合（GSNI2）

日本における指標も提供されています。

各国・地域の状況

GSNIの調査結果によると、世界中の男女の大多数が女性に対して偏見を抱いていることが明らかにされました。特に興味深い点は、男性の約50%が「男性は女性よりも政治指導者として優れている」と信じている点や、5人に2人が「男性は女性よりも経営者としての能力が上である」と考えているということです。このようなジェンダーバイアスは、開発レベルや所得、文化的背景にかかわらず広がっています。

日本のジェンダー社会規範指数に目を向けると、2020年から2023年の間でバイアスを持たない割合が約10%上昇し、90ヵ国中の16位という評価を受けていることが示されています。

関連項目

GSNIは、ジェンダーに関する他の様々な指標とも深く関連しており、以下の指標が特に重要です。

• - ジェンダー開発指数：男女格差に関する指標
• - ジェンダー不平等指数：国連が発表する男女差別に関する指標
• - ジェンダー・ギャップ指数：経済フォーラムが発表する指標

これらの指標は、政策を考える上で有益なデータを提供し、より良い社会を目指すための基盤となっています。

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