ジェームス・ジェマーソン

ジェームス・ジェマーソン - モータウンの巨星

ジェームス・ジェマーソン（1936年1月29日 - 1983年8月2日）は、アメリカ・サウスカロライナ州チャールストン出身の伝説的なベーシストです。彼は1960年代から70年代初頭にかけて、モータウンの黄金期において重要な役割を果たしました。ジェマーソンは、ポピュラー音楽の発展において最も影響力のあるベーシストの一人とされ、2000年にはロックの殿堂に迎え入れられました。また、2020年にはローリング・ストーン誌により「史上最高のベーシスト50選」で第一位に輝くなど、彼の業績は広く評価されています。

幼少期とキャリアの始まり

ジェマーソンはエディストアイランドで誕生し、幼いころに母親と共にデトロイトに移ります。1959年には、モータウンでベーシストとして活動を開始し、その後はジョン・リー・フッカーやリフレクションズ、ジョーン・バエズなど、多くのアーティストのサポートを務めました。この頃から彼の音楽的な幅が示されていきます。特に、シュープリームスの「恋はあせらず」やテンプテーションズの「マイ・ガール」、「ザ・ウェイ・ユー・ドゥ・ザ・シングズ・ユー・ドゥ」など、多数のヒット曲でのベース演奏が知られています。ただし、彼の名が初めてモータウンのレコードにクレジットされたのは1971年であり、その遅さもまた彼のユニークな人生の一部です。

モータウンからの離脱とその後

1972年にモータウンはロサンゼルスに移転し、ジェマーソンもこれに従いますが、1973年にはモータウンを離れました。彼のその後の活動には、グラディス・ナイトの「ニーザー・ワン・オブ・アス」やシルバーズの「ブギー・フィーバー」、アルバムではロバート・パーマーの「プレッシャー・ドロップ」などが含まれ、彼の才能は休むことなく世界に発信されました。しかし、彼の人生は酒豪としての一面もあったため、1983年には肝臓病でその生涯を閉じました。

演奏スタイルと使用機材

ジェマーソンはその演奏スタイルでも知られており、彼のメインの楽器はダブルベースとエレクトリックベースでした。特に、1962年製のフェンダー・プレシジョンベースを使用し、これには「Funk Machine」と名付け、自身のスタイルを形成しました。弦はヘヴィ・ゲージのLa Bellaを使用し、非常に高い弦高を設定することで、独特のトーンを生み出しました。演奏時には、右手の人差し指だけでピッキングするスタイルが特徴で、これにより「ザ・フック」と呼ばれるニックネームが付けられました。

影響力と遺産

ジェマーソンの影響を受けたベーシストは多岐にわたり、ファンクやR&B、ロック、ジャズ・クロスオーバーといったジャンルで活躍するアーティストたちがその技術を受け継いでいます。彼のスタイルは今なお多くのベーシストに模倣されており、現代の音楽シーンにおいても彼の影響は色濃く残っています。また、息子のジェームス・ジェマーソン・ジュニアもベーシストであり、大きな音楽的遺産を引き継いでいます。

今日においてもジェームス・ジェマーソンは、音楽界の偉大な存在として語り継がれ、多くの人々に親しまれています。

もう一度検索