ジョン・リー・フッカー
ジョン・リー・フッカー（John Lee Hooker, 1917年8月22日 - 2001年6月21日）は、アメリカ合衆国出身のブルース歌手、ギタリストです。50年以上にわたるキャリアの中で、独特のリズム感覚を持つブギ・スタイルを確立し、「キング・オブ・ブギ」として広く知られています。
ミシシッピ州クラークスデイルで生まれたフッカーは、1943年にミシガン州デトロイトに移住しました。生年については諸説ありますが、1917年説が有力です。1948年にレコード・ディーラーのバーニー・ベスマンに誘われ、初のレコーディングを経験しました。翌1949年1月には、モダン・レコードから発表した「Boogie Chillen」がR&Bチャートで大ヒットを記録し、一躍注目を集めました。
「Boogie Chillen」のヒット後、フッカーは他のレーベルからも誘いを受けましたが、モダンとの契約のため、様々な変名を使って複数のレーベルに作品を提供しました。1955年にはモダンを離れてヴィージェイ・レコードと契約。同レーベルでは1965年まで計8枚のアルバムを発表しました。この時期、フッカーはそれまでの弾き語りスタイルからR&B色の濃いバンドスタイルへと転換し、「Dimples」や「Boom Boom」といった代表曲を生み出しました。
1962年にはブルース・ブームが起こっていたヨーロッパに渡り、熱狂的な歓迎を受けました。
1965年、ABCレコードに移籍。同レーベルや傘下のブルースウェイ、インパルス!レコードなどからも作品をリリースしました。1970年代に入ると、デトロイトを離れてカリフォルニア州に移住し、ロック・ミュージシャンとの共演を活発化させました。キャンド・ヒートとの共演作『フッカー&ヒート』(1970年)や、スティーヴ・ミラー、ジェシ・エド・デイヴィスらとの共演作『エンドレス・ブギー』(1971年)、ヴァン・モリソンとの共演盤『ネバー・ゲット・アウト・オブ・ジーズ・ブルース・アライヴ』(1972年)などが有名です。
1970年代半ば頃までABCに在籍しましたが、その後しばらくは新作から遠ざかっていました。1980年には映画『ブルース・ブラザース』にストリートミュージシャン役で出演しました。1984年にはブラック・ミュージック・リヴューの招聘でロバート・クレイと共に来日し、全国6都市で公演を行いました。この来日が、フッカーにとって唯一の日本公演となりました。
1989年には、カルロス・サンタナ、ボニー・レイット、ロス・ロボスら豪華ゲストを迎えたアルバム『The Healer』で華々しくカムバックを果たしました。このアルバムに収録された「I'm In The Mood」は、グラミー賞最優秀トラディショナル・ブルース・レコーディング賞を受賞し、再びその存在感を示しました。1991年にはロックの殿堂入りを果たしました。同年リリースのアルバム『ミスター・ラッキー』にもライ・クーダー、ジョニー・ウィンター、キース・リチャーズらが参加し、旧知のヴァン・モリソンとも共演しました。
復帰後は、デニス・ホッパー監督の映画『ホット・スポット』のサウンドトラックでマイルス・デイヴィスと共演したり、ピート・タウンゼントやビッグ・ヘッド・トッド&ザ・モンスターズの作品に参加するなど、幅広いアーティストとの共演を重ねました。2001年のトミー・カストロのアルバム『Guilty Of Love』への参加が、晩年のゲスト参加の一つです。
2001年6月21日、カリフォルニア州サンフランシスコ近郊の自宅で、老衰のため亡くなりました。自己名義の最後の作品は『ドント・ルック・バック』(1997年)ですが、その翌年にはベスト盤『ベスト・オブ・フレンズ』に新曲が3曲収録されました。また、没後の2003年に発表された『フェイス・トゥ・フェイス』は、未発表音源にゲストミュージシャンがオーバーダブを施した事実上のラストアルバムとなりました。
ジョン・リー・フッカーは、「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリスト」で35位、「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」で81位にランクインするなど、音楽史に大きな足跡を残しました。独特のブギ・スタイルは、多くのミュージシャンに影響を与え、後世にまで語り継がれています。
『アイム・ジョン・リー・フッカー』 (1959年)
『ザ・カントリー・ブルース・オブ・ジョン・リー・フッカー』 (1959年)
『ハウス・オブ・ザ・ブルース』 (1960年)
『バーニン』 (1962年)
『オン・キャンパス』 (1963年)
『ザ・ビッグ・ソウル・オブ』 (1964年)
『エンドレス・ブギー』 (1971年)
『フッカー&ヒート』 (1971年) ※キャンド・ヒートと連名
『ネバー・ゲット・アウト・オブ・ジーズ・ブルース・アライヴ』 (1971年)
『アローン』 (1976年)
『ザ・ヒーラー』 (1989年)
『ミスター・ラッキー』 (1991年)
『チル・アウト』 (1995年)
『ドント・ルック・バック』 (1997年)
『フェイス・トゥ・フェイス』 (2003年)
Blues Records 1943-1970 (Mike Leadbetter & Neil Slaven)
Joel Whitburn's Top R&B Singles 1942-1988 (Record Research)
ブルース&ソウル・レコーズ誌 No. 41「追悼 ジョン・リー・フッカー」 (ブルース・インターアクションズ)
ブラック・ミュージック・リヴュー 1984年7月号「来日告知」 (ブルース・インターアクションズ)
公式サイト （英語）
The Boom Boom Room (ジョンリーのクラブ) （英語）
ジョン・リー・フッカー - オールミュージック （英語）
生い立ちと初期の活動
ミシシッピ州クラークスデイルで生まれたフッカーは、1943年にミシガン州デトロイトに移住しました。生年については諸説ありますが、1917年説が有力です。1948年にレコード・ディーラーのバーニー・ベスマンに誘われ、初のレコーディングを経験しました。翌1949年1月には、モダン・レコードから発表した「Boogie Chillen」がR&Bチャートで大ヒットを記録し、一躍注目を集めました。
音楽キャリアの発展
「Boogie Chillen」のヒット後、フッカーは他のレーベルからも誘いを受けましたが、モダンとの契約のため、様々な変名を使って複数のレーベルに作品を提供しました。1955年にはモダンを離れてヴィージェイ・レコードと契約。同レーベルでは1965年まで計8枚のアルバムを発表しました。この時期、フッカーはそれまでの弾き語りスタイルからR&B色の濃いバンドスタイルへと転換し、「Dimples」や「Boom Boom」といった代表曲を生み出しました。
1962年にはブルース・ブームが起こっていたヨーロッパに渡り、熱狂的な歓迎を受けました。
1965年、ABCレコードに移籍。同レーベルや傘下のブルースウェイ、インパルス!レコードなどからも作品をリリースしました。1970年代に入ると、デトロイトを離れてカリフォルニア州に移住し、ロック・ミュージシャンとの共演を活発化させました。キャンド・ヒートとの共演作『フッカー&ヒート』(1970年)や、スティーヴ・ミラー、ジェシ・エド・デイヴィスらとの共演作『エンドレス・ブギー』(1971年)、ヴァン・モリソンとの共演盤『ネバー・ゲット・アウト・オブ・ジーズ・ブルース・アライヴ』(1972年)などが有名です。
後期の活動とカムバック
1970年代半ば頃までABCに在籍しましたが、その後しばらくは新作から遠ざかっていました。1980年には映画『ブルース・ブラザース』にストリートミュージシャン役で出演しました。1984年にはブラック・ミュージック・リヴューの招聘でロバート・クレイと共に来日し、全国6都市で公演を行いました。この来日が、フッカーにとって唯一の日本公演となりました。
1989年には、カルロス・サンタナ、ボニー・レイット、ロス・ロボスら豪華ゲストを迎えたアルバム『The Healer』で華々しくカムバックを果たしました。このアルバムに収録された「I'm In The Mood」は、グラミー賞最優秀トラディショナル・ブルース・レコーディング賞を受賞し、再びその存在感を示しました。1991年にはロックの殿堂入りを果たしました。同年リリースのアルバム『ミスター・ラッキー』にもライ・クーダー、ジョニー・ウィンター、キース・リチャーズらが参加し、旧知のヴァン・モリソンとも共演しました。
その他の活動と晩年
復帰後は、デニス・ホッパー監督の映画『ホット・スポット』のサウンドトラックでマイルス・デイヴィスと共演したり、ピート・タウンゼントやビッグ・ヘッド・トッド&ザ・モンスターズの作品に参加するなど、幅広いアーティストとの共演を重ねました。2001年のトミー・カストロのアルバム『Guilty Of Love』への参加が、晩年のゲスト参加の一つです。
2001年6月21日、カリフォルニア州サンフランシスコ近郊の自宅で、老衰のため亡くなりました。自己名義の最後の作品は『ドント・ルック・バック』(1997年)ですが、その翌年にはベスト盤『ベスト・オブ・フレンズ』に新曲が3曲収録されました。また、没後の2003年に発表された『フェイス・トゥ・フェイス』は、未発表音源にゲストミュージシャンがオーバーダブを施した事実上のラストアルバムとなりました。
音楽的評価と影響
ジョン・リー・フッカーは、「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリスト」で35位、「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」で81位にランクインするなど、音楽史に大きな足跡を残しました。独特のブギ・スタイルは、多くのミュージシャンに影響を与え、後世にまで語り継がれています。
主なアルバム
『アイム・ジョン・リー・フッカー』 (1959年)
『ザ・カントリー・ブルース・オブ・ジョン・リー・フッカー』 (1959年)
『ハウス・オブ・ザ・ブルース』 (1960年)
『バーニン』 (1962年)
『オン・キャンパス』 (1963年)
『ザ・ビッグ・ソウル・オブ』 (1964年)
『エンドレス・ブギー』 (1971年)
『フッカー&ヒート』 (1971年) ※キャンド・ヒートと連名
『ネバー・ゲット・アウト・オブ・ジーズ・ブルース・アライヴ』 (1971年)
『アローン』 (1976年)
『ザ・ヒーラー』 (1989年)
『ミスター・ラッキー』 (1991年)
『チル・アウト』 (1995年)
『ドント・ルック・バック』 (1997年)
『フェイス・トゥ・フェイス』 (2003年)
参考情報
Blues Records 1943-1970 (Mike Leadbetter & Neil Slaven)
Joel Whitburn's Top R&B Singles 1942-1988 (Record Research)
ブルース&ソウル・レコーズ誌 No. 41「追悼 ジョン・リー・フッカー」 (ブルース・インターアクションズ)
ブラック・ミュージック・リヴュー 1984年7月号「来日告知」 (ブルース・インターアクションズ)
外部リンク
公式サイト （英語）
The Boom Boom Room (ジョンリーのクラブ) （英語）
ジョン・リー・フッカー - オールミュージック （英語）
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