ジェームス・J・ジェフリーズ

ジェームス・J・ジェフリーズ（James J. Jeffries、1875年4月15日 - 1953年 3月3日）は、アメリカ合衆国出身の伝説的なプロボクサーであり、元世界ヘビー級王者です。その卓越した身体能力から「ボイラーメイカー」の愛称で親しまれました。彼は、100ヤードを11秒で走り、走高跳では177.8cmを跳ぶなど、驚異的な運動能力の持ち主でした。

生い立ちとキャリア初期

オハイオ州キャロルの農家に生まれたジェフリーズは、6歳の時にカリフォルニア州ロサンゼルスに移住しました。少年時代からボイラー工場で働き、その恵まれた体格を活かしてボクシング、レスリング、陸上競技で才能を発揮しました。1895年、巡業で訪れた黒人ボクサー、ハンク・グリフィンとの非公式試合で勝利したことをきっかけにプロボクサーとしての道を歩み始めます。1896年7月2日、21歳でプロデビューを果たしました。

1897年には、ジェームス・J・コーベットのジム「オリンピッククラブ」に招かれ、スパーリングパートナーを務めるようになりました。同年7月16日にはガス・ルーリンと引き分け、11月30日にはベテランのジョー・チョインスキーと対戦し、これも引き分けに終わります。しかし、1898年3月22日には伝説的な黒人強豪、ピーター・ジャクソンに勝利し、一躍その名を轟かせました。その後もメキシカン・ピート・エベレット、トム・シャーキーといった強豪に勝利し、着実にキャリアを積み重ねていきます。

世界ヘビー級王者へ

1899年6月9日、ジェフリーズは世界ヘビー級王者ボブ・フィッシモンズに挑戦し、11回KO勝ちで世界王座を奪取しました。この勝利は、彼のキャリアにおける大きな転換点となりました。

無敗の王者として

ジェフリーズは、その後も数々の防衛戦を無敗で制しました。1899年11月3日にはトム・シャーキーとの再戦を制し、25回判定で初防衛に成功。この試合は「地獄の99分」と称される激戦で、両者共に満身創痍となりながらも、壮絶な打ち合いを繰り広げました。1900年4月6日にはジョン・フィネガンに初回KO勝ち、5月11日にはジェームス・J・コーベットにもKO勝ちを収めました。その後もガス・ルーリン、ボブ・フィッシモンズ、ジェームス・J・コーベット、ジャック・ムンローを相手に防衛を重ね、1904年8月26日には無敗のまま王座を返上し、引退しました。

カムバックと「世紀の決戦」

引退後、農園経営を行っていたジェフリーズですが、1908年12月26日にジャック・ジョンソンが黒人初の世界ヘビー級王者となったことで、事態は一変します。人種的な憎悪が広がる中、「グレート・ホワイト・ホープ」としてジェフリーズへの期待が高まりました。作家のジャック・ロンドンは、彼にカムバックを促すほどでした。ジェフリーズは高額な報酬もあり、ジョンソンとの試合に臨むことを決意しました。

しかし、長年のブランクは彼の身体能力を著しく低下させていました。トレーニングを重ねるも全盛期のコンディションを取り戻すことはできず、1910年7月4日、「世紀の決戦」と銘打たれたジャック・ジョンソン戦に臨みました。試合はジョンソンの圧倒的なペースで進み、15回TKOでジェフリーズは生涯初の敗北を喫しました。この敗戦は、彼自身の失意だけでなく、多くの白人たちの落胆を招き、社会的な波紋を広げました。

黒人ボクサーとの関係

ジェフリーズは、現役時代に黒人ボクサーとの対戦を避けていたと指摘されることもありますが、実際には、ハンク・グリフィン、ピーター・ジャクソン、ボブ・アームストロングといった黒人ボクサーとも戦い、勝利を収めています。また、彼らの中にはジェフリーズを尊敬する者も多くいました。

ジャック・ジョンソンとの逸話

ジェフリーズは、ジャック・ジョンソンからの対戦要求を避けていたとされる一方、ジェフリーズからジョンソンにリング外での対戦を求めた逸話も残っています。これは、当時の人種間の緊張感を表すエピソードの一つと言えるでしょう。

その後

ジェフリーズは敗戦後、農場に戻り、静かに余生を送りました。彼はその強さと敗戦を通して、多くの人々に影響を与えた伝説的なボクサーとして、今も語り継がれています。

獲得タイトル

世界ヘビー級王座

脚注

参考文献

ADAM J.POLLACK,"IN THE RING WITH JAMES J.JEFFRIES",WIN BY KO Publications,ISBN 978-0-9799822-1-7,September 1, 2009

外部リンク

* ジェームス・J・ジェフリーズの戦績 - BoxRec（英語）

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