ジェームズ・スターリング (西オーストラリア州総督)

ジェームズ・スターリング（Admiral Sir James Stirling, 1791年1月28日 - 1865年4月23日）は、イギリス海軍の将校、政治家、そして外交官として、19世紀に多岐にわたる活躍を見せた人物です。

軍人としてのキャリア

1804年に海軍に入隊したスターリングは、そのキャリアの初期にナポレオン戦争や米英戦争といった重要な戦役に参加しました。これらの戦いでの経験は、彼の後の軍事的、そして戦略的な思考を形成する上で大きな影響を与えたと考えられます。

西オーストラリア植民地での活動

1827年、スターリングは西オーストラリアにおける植民地設立の任務を帯び、パースおよびフリーマントル周辺地域の調査を行いました。この調査が、後の植民地建設の基礎となりました。1831年から1838年まで、初代州総督として西オーストラリアの発展に尽力しました。総督としての任期中、彼はこの地域におけるインフラ整備や社会秩序の確立に大きく貢献しました。彼のリーダーシップのもと、西オーストラリアは着実に発展を遂げました。

海軍復帰と東アジアでの活動

総督の任期を終えたスターリングは海軍に復帰し、地中海艦隊に所属する軍艦の艦長に任命されました。当時、フランス軍が勢力を拡大しており、彼の任務はマルタを拠点としてフランス軍を警戒することでした。その後、彼は東インド・中国艦隊の司令官に任命され、東アジアにおけるイギリスの権益を守るという重要な役割を担いました。

日英和親条約の締結

スターリングのキャリアにおいて特筆すべき出来事の一つが、1854年9月7日に彼が率いるイギリス艦隊が長崎に来航したことです。この来航は、日本との関係を大きく変えるきっかけとなりました。スターリングは、当時の江戸幕府の許可を得て、長崎奉行の水野忠徳や目付の永井尚志と交渉を行い、同年10月14日（旧暦嘉永7年8月23日）に日英和親条約を締結しました。この条約は、日本とイギリスの間に外交関係を開き、貿易やその他の交流を促進する上で重要な一歩となりました。スターリングの外交手腕は、この条約の締結において重要な役割を果たしました。

晩年と遺産

スターリングは、軍人、政治家、そして外交官としての活動を通じて、イギリスの歴史に大きな足跡を残しました。彼の功績は、西オーストラリアの発展や、日本との関係改善に大きく貢献したことで知られています。彼の名前は、特に西オーストラリアにおいては、植民地の父として長く記憶されています。

参考資料

* 多田好問『岩倉公実記』、1906年 - ウィキソース

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