日英和親条約

日英和親条約の概要

はじめに

日英和親条約（にちえいわしんじょうやく）は、1854年に日本とイギリスの間で結ばれた最初の公式な条約です。この条約は、日本が外交関係を国外と正式に持つことを示す重要な出来事となりました。当時の日本は、外圧によって次第に開国を余儀なくされており、その中でイギリスとの関係も徐々に深まっていきました。

背景

19世紀中盤、日本の周辺における国際情勢は急速に変化していました。特にアヘン戦争を経て、イギリスは中国大陸における勢力を強化し、日本にも興味を示すようになったものの、当時はまだ本格的な関与には至っていませんでした。また、アメリカが東インド艦隊を派遣するといった情報が入っても、イギリスの反応はさほど積極的ではありませんでした。

その一方で、クリミア戦争が勃発すると、イギリスは戦力をそちらに集中せざるを得なくなりました。しかし、ロシアの艦隊が長崎に入港したとの情報が入ると、イギリス側は日本に対して再び関心を寄せるようになりました。1854年9月7日、イギリス艦隊が長崎に来航し、司令官のジェームズ・スターリングは日本の幕府に局外中立を求めました。

交渉と締結

当時の長崎奉行であった水野忠徳は、スターリングの来航を外交交渉の一環と誤解し、幕府の許可を得て交渉しました。結果として、その年の10月14日に日英和親条約が調印される運びとなりました。ここでスターリングは正式な外交交渉の権限を持っていなかったものの、日本での補給が必要であったため、幕府との合意に至ったのです。

条約の内容

日本はすでに日米和親[[条約]]に基づき、アメリカに対して下田と箱館の開港を認めていましたが、日英和親条約では新たに長崎と箱館をイギリスに開放し、薪水の供給を認めることが定められました。また、犯罪を犯した船員の引き渡しや、片務的最恵国待遇なども規定されています。しかし、通商に関する具体的な規定は設けられず、条約港に入港したイギリスの船は日本の法律に従うことが求められました。

この規定に対して香港総督のジョン・ボウリングは異議を唱えましたが、清国との関係が悪化する中で、合意が成立しました。以後、ロシアやオランダとの間でも同様の和親条約が締結され、日本の国際的な立場は徐々に定まっていくことになります。

その後の影響

日英和親条約は、日本が西洋の国々と正式に関わり始める契機となりました。1858年にはエルギン伯爵ジェイムズ・ブルースが来日し、五港開放や貿易、イギリス人の居住を認める日英修好通商[[条約]]が締結されました。このように、日英和親条約は日本の開国と近代化の進展において、重要な一歩であったと言えるでしょう。

おわりに

日英和親条約を通じて、日本は国際的な舞台へと足を踏み入れたことになります。この条約は、単なる外交文書以上の存在であり、後の日本の歴史に大きな影響を与えることとなりました。国際関係を再構築する中で、日本はどのようにその立場を確立していくのか、今後の展開に注目です。

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