ジェームズ・ステュアート (初代マリ伯爵)

初代マリ伯爵ジェームズ・ステュアート：スコットランド激動の時代を生きた政治家

初代マリ伯爵ジェームズ・ステュアート（1531年 - 1570年）は、スコットランド王ジェームズ5世の庶子として生まれ、スコットランド女王メアリーの異母兄にあたる人物です。彼は貴族、政治家として、当時のスコットランドにおいて重要な役割を果たしました。

生い立ちと女王メアリーの重用

ジェームズは、ジェームズ5世とマーガレット・アースキンの間に生まれました。しかし、父王がメアリー・オブ・ギーズと結婚したため、庶子という扱いを受けました。このことが、彼の中に長年燻る不満となっていたようです。異母妹であるメアリーがスコットランドに帰国すると、彼は彼女を「親愛なるお兄様」と呼び、深く信頼しました。1561年には枢密顧問に任命され、1562年にはカトリックのゴードン家の反乱を鎮圧した功績により、マリの領地を与えられ、マリ伯を名乗るようになりました。彼は枢密院で大きな権力を振るうようになりました。

メアリーとの対立と反乱

しかし、メアリーがダーンリー卿ヘンリー・ステュアートと結婚しようとすると、マリ伯は自身の権力低下を恐れ、エリザベス1世に結婚阻止を要請しました。彼はダーンリー卿が自分の殺害を企てていると主張し、メアリーと対立しました。1565年、メアリーとダーンリー卿が結婚すると、マリ伯は反乱を起こしましたが、イングランドからの援軍が得られず、敗北しイングランドへ亡命しました。

相次ぐ陰謀

1566年、ホリールードハウス宮殿でメアリーの秘書デイヴィッド・リッチオが殺害される事件が起こりました。この事件の首謀者はマリ伯だったという説があります。その後、メアリーとダーンリー卿の関係は悪化し、マリ伯はメアリーから反逆罪を許され、スコットランドに帰国、再び重用されることになりました。1567年にはダーンリー卿が暗殺されましたが、マリ伯は事件前日にパーティーを欠席しており、関与が疑われました。

ボスウェル伯の排除と死

1567年、ボスウェル伯がメアリーを誘拐し、結婚しました。これに対し、反ボスウェル派の貴族たちが反乱を起こし、メアリーは退位させられました。マリ伯は摂政に任命され、ボスウェル伯は国外へ逃亡しました。その後、マリ伯はデンマークに拘束されたボスウェル伯の処刑を求めましたが、最終的にはデンマークの裁判所に判断が委ねられました。

1570年、マリ伯はメアリーを支持するジェームズ・ハミルトンによって暗殺されました。彼の死は、スコットランドの政情に大きな影響を与えました。

爵位と家族

マリ伯は、1562年にマリ伯爵、アバーネシー＝ストラサーン卿に叙せられました。また、短期間マー伯爵にも叙せられています。彼はアン・ケイスとの間に3人の娘を儲けました。長女のエリザベスは、2代マリ女伯を継承しました。

マリ伯ジェームズ・ステュアートは、その生涯において、スコットランドの政治に深く関わり、数々の陰謀や事件に関与しました。彼の行動は、スコットランドの歴史に大きな足跡を残しました。

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