ジェームズ・テニー

ジェームズ・テニーの音楽の世界

生涯と教育

ジェームズ・テニー（James Tenney）は、1934年8月10日にニューメキシコ州シルヴァーシティに生まれました。アリゾナ州とコロラド州で育ち、音楽の道に進むことを決意しました。彼はデンヴァー大学やジュリアード音楽学校で音楽を学び、1958年にはベニントン大学で文学士号を取得、さらに1961年には文学修士号を得ました。テニーは、ピアノをエドゥアルト・シュトイアーマンに師事し、作曲をカール・ラッグルズ、ジョン・ケージ、ハリー・パーチらから学びました。

作曲家としての活動

テニーは、ケージから大きな信頼を寄せられ、音楽理論においても影響を及ぼしました。彼は情報理論や確率論に基づく初期のコンピューター音楽を作った後、テープのディレイ効果や微分音、純正律を活用した器楽曲に移行しました。彼の作品は、知覚や純正律、エルゴ理論（エルゴード性）などをテーマにしており、シンプルなものから技巧を凝らした作品まで多岐にわたります。

テニーの音楽にはしばしば、献辞がそのまま作品名に使われることがあります。例えば、「アンのために（高揚）」という作品があります。彼の音楽スタイルは、しばしば彼の学生や弟子たちにも強い影響を与え、特にラリー・ポランスキーがその代表例として挙げられます。

教職と後のキャリア

2000年にはカリフォルニア芸術大学に教授として再任されたテニーは、学生たちに自身の音楽観や理論を伝え続けました。また、彼はヴェルゴ・レーベルの「コンロン・ナンカロウ・エディション」にも詳細な解説を寄せ、ナンカロウにとっては彼の「コンロン・ナンカロウのための分光カノン」が特にお気に入りの作品となりました。1980年代に入ると、「ユビュドへの道」や「ブリッジ」、「ピカ・ドン」といった作品によって、彼の創作活動は赤々とした全盛期を迎えます。

ヨーロッパでの活動と評価

1990年代にはドイツのダルムシュタットでの夏季講習会に招かれ、更に多くの支持を集めました。その後もオーストリアのクレムスでラモンテ・ヤングと共に公開講座やレクチャーを行い、ヨーロッパにも多くのフォロワーを獲得しました。彼の音楽に関する研究論文は、多くの音楽学者によって雑誌に公表され、さらなる注目を集めました。

最晩年

晩年には、ケルン放送局からの委嘱も受けるなど、活躍を続けました。しかし、2006年8月24日に肺癌により72歳でこの世を去りました。テニーの音楽は、彼が残した理論や技術とともに、現代音楽における重要な遺産となっています。

参考文献

テニーの作品や思想に関する文献としては、彼自身の『Meta-Hodos and Meta Meta-Hodos』や、ピーター・ガーランド編の『Soundings Vol. 13: The Music of James Tenney』などがあります。彼の影響は多方面にわたり、今後も研究が進んでいくことでしょう。

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