ジェームズ・ハリントン

ジェームズ・ハリントンの生涯と思想

ジェームズ・ハリントン（1611年1月3日 - 1677年9月11日）は、イングランドの政治哲学者として知られ、清教徒革命から王政復古期にかけて活動しました。主に彼の著作『オセアナ』が認知されており、古典的共和主義の重要な思想を展開しています。

生い立ちと教育

ハリントンは、ノーサンプトンシャーのアプトンでサプコテス・ハリントンとジェーンの子として誕生しました。彼の曽祖父であるハリントン男爵は、歴史の中で著名な人物でした。1629年にオックスフォード大学のトリニティ・カレッジに入学しますが、父の死去により1631年には学校を退学。その後、ヨーロッパを旅し、ドイツ義勇軍に加わったこともありました。

国政への関与

ハリントンは、1636年頃にイングランドへ戻り、国王チャールズ1世の遠征に参加しました。この遠征は失敗し、結果的に国王と議会の対立を引き起こしました。第一次イングランド内戦が勃発すると、ハリントンはイングランド北部で国王を拘束する発端となる行動をしました。1646年、王党派が敗北した後、国王は議会に囚われますが、ハリントンは国王をロンドン近くに移動させることに成功しました。しかし、1649年に国王は処刑されます。

『オセアナ』の執筆

国王の死を受け、ハリントンは共和国論『オセアナ』の執筆に取り掛かります。この作品では、政府の枠組みとして無記名投票や任期制を提唱しました。クロムウェルに一度は没収されるものの、彼の娘の取り計らいで返却され、1656年に正式に出版されました。この著作は、後の政治運動にも影響を与えました。特に、彼はロータ・クラブという組織を設立し、実現を図りましたが、政治状況の変化により成功には至りませんでした。

王政復古とその後

ハリントンは、クロムウェルの死後、成立した王政復古に直面します。1661年、彼は逮捕され、ロンドン塔に幽閉されました。彼の家族は保護令状を求めましたが、効果がなく、彼は別の島に移送されます。しばらくして、親戚からの支援により釈放されましたが、彼の人生は波乱に満ちていました。

私生活と死去

1675年にはバッキンガムシャーの貴族の娘と結婚しましたが、子どもが生まれないまま、1677年に亡くなりました。彼はウェストミンスターの聖マーガレット教会に埋葬されています。

影響と評価

ハリントンの思索は、今日に至るまで多くの政治哲学者や活動家に影響を与えています。その独自の視点からの政治理論は、近代共和主義の思想において重要な位置を占めています。彼の『オセアナ』は、政治運営の可能性を考える上で重要な文献とされ続けており、研究者たちによって高く評価されています。

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