ジェームズ・バトラー (第2代オーモンド公)

第2代オーモンド公ジェームズ・バトラーの生涯

第2代オーモンド公であるジェームズ・バトラーは、1665年4月29日に生まれました。彼はアングロ＝アイリッシュ系貴族の家系に生まれ、父は初代オーモンド公、母はオラニエ公マウリッツの庶子の血を引くエミリア・ファン・ナッサウでした。1680年に父が突然死去した際、彼はオソリー伯を継承し、同時にオーモンド公位の後継者として指名されました。

また、1683年には騎兵隊長に任命され、1685年にイングランド王ジェームズ2世の即位を受けて起こったモンマス公ジェームズ・スコットの反乱鎮圧に貢献しました。翌1688年に父方の祖父が亡くなった後、彼は正式にオーモンド公位を継承し、その年から1716年までダブリン大学の学長を務めた経歴があります。

1688年に勃発した名誉革命では、ジェームズ2世を裏切りウィリアム3世に寝返ります。その功績から、翌1689年には大司馬及び近衛騎兵隊長に任命されました。1690年のボイン川の戦いでは、かつての君主ジェームズ2世と対峙し、その後大陸に渡り大同盟戦争に参加しました。1693年のネールウィンデンの戦いで捕虜となるも、ジャコバイトのベリック公との捕虜交換により解放されています。

アン女王の治世下、彼はスペイン継承戦争にも従軍し、海軍としてカディスの戦いとビーゴ湾の海戦において重要な戦果を上げました。1710年にはアイルランド総督として任命され、1713年までの期間に同地での指導力を発揮します。その後、イギリス軍総司令官に就任しますが、当時のトーリー党とホイッグ党の政争の中で慎重に行動を求められることになります。

オーモンドは、和平派のトーリー党の指導者たちからの指示の下、フランスとの交渉を重視し、1712年にイギリスとフランスの単独講和が成立すると、すぐに軍を引き上げました。しかし、その結果、同盟軍はフランス軍に敗北し、スペイン継承戦争の終結を迎えます。

その後、トーリー党は王位継承問題で内部対立を深め、アン女王の死後、ホイッグ党が政権を握りました。1715年、オーモンドはその影響でフランスに亡命を余儀なくされ、その後はジャコバイトの反乱に加わりますが、いずれの試みも成功しませんでした。1745年、彼はフランス・アヴィニョンで80歳で息を引き取りました。

個人生活と子女

彼の私生活においては、1682年にロチェスター伯ローレンス・ハイドの娘アンと結婚しましたが、1685年に未亡人となり、彼の娘メアリーも同年に夭折しました。続いて1685年にボーフォート公ヘンリー・サマセットの娘メアリーと再婚し、彼らの間には1男2女が誕生しました。

• - トマス（? - 1689年）
• - エリザベス（1689年 - 1750年）
• - メアリー（1690年 - 1713年） - アシュバーナム伯爵ジョン・アシュバーナムと結婚

他の子供たちが全て夭折したため、彼の死後、アイルランドのオーモンド公位はイギリスに残った弟チャールズが継承しました。ジェームズ・バトラーの生涯は、多くの戦争と困難によって彩られた波乱万丈なものでした。

もう一度検索