漁船

漁船について

漁船（ぎょせん）とは、主に漁業のために設計された船舶のことです。この船舶は、地域、漁法、目的とする魚や漁場に応じて大きさや構造、使用される材料が異なります。

漁船の分類

漁船は大きく分けて、以下のカテゴリに分類されます。

• - 漁猟船: 魚を獲るための船です。
• - 母船（工船）: 子漁船が獲った魚を受け取る大型の船で、魚の加工設備を持つこともあります。
• - 運搬船: 獲った魚を港まで運ぶための船です。

さらに、これらのカテゴリは、漁法や獲る魚の種類によって細分化され、具体的には以下のような種類があります。

• - 釣漁船: 魚を釣るために特化した船（例: かつお釣漁船）
• - 延縄漁船: 遠投用の縄を使う船
• - 流網漁船: 網を使って魚を自動的に絡ませて獲る船
• - 刺網漁船: 固定した網で、移動する魚や甲殻類を捕らえる船
• - トロール漁船: 海底を引いて魚を捕獲する船

漁船の設備

漁船の特徴的な部分はその漁業設備であり、建造時に基本的な設備が整えられますが、後に変更が加えられることもあります。例えば、刺網漁業ではネットホーラーという設備が必要で、延縄漁業ではラインホーラーを使用します。最近では、効率的に集魚するため集魚灯が導入されており、LED集魚灯は従来よりも燃料効率が良いとされています。

船体の特徴

漁船は、その使用方法から複雑な航跡を描くため、特に動きに優れた構造が求められます。また、揚網作業中はバランスを崩しやすいため、復原性が重要視されます。漁業の種類ごとにそれぞれ最適な構造が異なり、例えば、定置漁業では揚網作業がしやすいよう船体設計がされています。

材質

漁船の材質は主に木材、FRP（繊維強化プラスチック）、軽合金、鋼が使われます。小型漁船にはFRPが多く使われ、製造が効率的で価格も手頃です。しかし、FRPには廃棄時のリサイクル問題があるため、最近では軽合金の利用が増えています。大型船では鋼が主に用いられ、その特性から強度が重視されます。

動力

漁船の動力は、手漕ぎや帆から始まり、1860年代から蒸気機関が導入されました。現在では、船外機、船内機、船内外機の三種類が一般的で、用途に応じて選択されています。近年、一部では電気推進も試みられています。

世界の漁船事情

動力を持つ漁船の保有数に関する統計では、中国やインドネシアが上位を占めています。日本も302,000隻に近い数を持っていますが、全体としては減少傾向にあります。特にアメリカやノルウェーにおいても、漁船数の減少が影響を与えています。

日本の漁船法

日本における漁船は、1950年に制定された漁船法に基づき定義されます。この法律には、魚の捕獲、運搬、製造に特化した船舶が含まれます。漁船は登録が義務付けられており、各船には漁船登録番号が付与され、その管理が各都道府県の責任で行われます。

まとめ

漁船は漁業に特化した多様な機能を持つ船であり、その設計や使用方法は地域、漁法、目的により多岐にわたります。近年では環境問題に対する配慮から、新しい技術や素材を通じて効率性と持続可能性が求められています。

もう一度検索