ジガ・ヴェルトフ

ジガ・ヴェルトフ

ジガ・ヴェルトフ（Dziga Vertov、1896年1月15日 - 1954年2月12日）は、ソビエト連邦（現ロシア）の映画監督です。本名はデニス・アルカジェヴィチ・カウフマン。ドキュメンタリー映画の父と称される一人であり、映画史に大きな足跡を残しました。

人物と経歴

ヴェルトフは、ロバート・フラハティ、ヨリス・イヴェンスと並び、ドキュメンタリー映画のパイオニアとして知られています。彼はポーランドのビアリストクでユダヤ人家庭の長男として生まれました。「ジガ・ヴェルトフ」はペンネームで、「コマのように回転する人形」という意味を持っています。彼の末弟ボリス・カウフマンは、映画カメラマンとして活躍し、『新学期・操行ゼロ』や『波止場』などの名作を手がけました。

ヴェルトフは、ニュース映画シリーズ『キノ・プラウダ』の構成・演出で映画界に入り、その後ドキュメンタリー映画の演出にも取り組みました。ロシア・アヴァンギャルドの芸術家たちとも交流を深め、独自の映画理論を確立していきます。彼の代表作である『カメラを持った男』（1929年）は、多重露光、ストップモーション、スローモーション、早回し、移動撮影など、当時の最先端技術を駆使した先鋭的な作品です。この作品は、日本でも『これがロシヤだ』というタイトルで公開されました。

『カメラを持った男』は、西欧でも評価されましたが、ソビエト政府からは形式主義的と批判され、映画制作の機会を奪われてしまいます。晩年は、スターリンによる反ユダヤ政策の影響で、ニュース映画の編集に従事させられました。1954年、モスクワで58歳で亡くなりました。

ヴェルトフの死後、彼の思想は、ジャン＝リュック・ゴダール率いる映画制作グループ「ジガ・ヴェルトフ集団」に受け継がれ、映画史に大きな影響を与えました。

フィルモグラフィー

『レーニンのキノ・プラウダ』（1924年）
『カメラを持った男』（1929年）
『ドンバス交響曲』（1930年）
『レーニンの三つの歌』（1934年）

関連事項

ミハイル・カウフマン（兄弟）
メトロ・ピクチャーズ
攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX|攻殻機動隊_STAND_ALONE_COMPLEX：「私は、私が見える世界を皆に見せるための機械だ」というジガ・ヴェルトフの発言が引用されている。
ゴールデン・ジガ賞：ウクライナ映画に授与される賞。

外部リンク

ジガ・ヴェルトフ - allcinema
ジガ・ヴェルトフ - KINENOTE
Dziga Vertov - IMDb
Dziga Vertov - オールムービー

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