ジッター

ジッター（Jitter）とは

ジッターとは、電気通信や情報技術の分野で、信号波形の時間軸における微細な揺らぎを指します。この揺らぎは、映像や音声などの品質低下、データエラー、ネットワークの不安定化を引き起こす要因となります。「いらいらする」という意味の英語の "Jitter" に由来しており、信号が時間的に不安定な状態を表しています。

ジッターの定義

国際電気通信連合（ITU-T）の勧告G.810では、タイミング信号の位相変動において、周波数が10Hz以上の短期間の変動をジッターと定義しています。10Hz未満の変動はワンダー（Wander）と呼ばれ、ジッターとは区別されます。

アナログ信号におけるジッター

アナログ信号では、本来一定周期で繰り返されるべき波形が、部分的に早まったり遅れたりすることでジッターが発生します。受信側で信号を再生する際、この時間的なずれが品質低下の原因となります。

デジタル信号におけるジッター

デジタル信号では、基準クロックやデータ信号の位相の揺らぎによってジッターが発生します。最悪の場合、受信側でデータの誤りが生じる可能性があります。デジタル信号のジッターは、以下の2つに分類されます。

ランダムジッタ (Random Jitter, RJ)

ランダムジッタは、信号波形の時間的な揺らぎが正規分布に従うものです。データ信号やクロック信号にランダムな時間変動が含まれることで発生します。高速デジタル信号の伝送においては、信号波の立ち上がりと立ち下がりの傾きの変化も位相揺らぎの要因となり、電源電圧やグランド電圧の乱れもランダムジッタの原因となります。

デターミニスティックジッタ (Deterministic Jitter, DJ)

デターミニスティックジッタは、データやクロックに依存して受信信号の波形タイミングが変化するジッタです。同一のデータやクロックでは、常に一定のジッタが発生する性質を持ちます。シンボル間干渉（Inter-symbol interference, ISI）と関連することがあります。ランダムジッタとデターミニスティックジッタを合わせて、トータルジッタと呼ばれます。

ネットワークにおけるジッター

インターネットなどのネットワーク環境では、パケットの伝送時間が一定しない状況をジッターと呼びます。このジッターは、ストリーミング配信される映像や音声の乱れ、オンラインゲームにおける動作の不安定さなどの原因となります。また、ネットワーク機器の安定性を示す指標として「ジッタ特性」が用いられます。

まとめ

ジッターは、電気通信や情報技術において、信号の時間的な揺らぎによって生じる様々な問題を引き起こす現象です。デジタル信号ではランダムジッタとデターミニスティックジッタの2種類が存在し、それぞれ異なる原因で発生します。ネットワーク環境ではパケットの伝送時間の変動として現れ、ユーザーエクスペリエンスに影響を与えます。ジッターを理解し、適切な対策を講じることが、高品質な通信システムや情報サービスを実現する上で重要となります。

関連項目

高級オーディオ
ワウフラッター
タイムコード
ゆらぎ

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