ジッポー

ジッポー（Zippo）

ジッポーは、アメリカのジッポー・マニュファクチャリング・カンパニーが製造する金属製オイルライターの商標です。オイルライターの代名詞として、世界中で広く知られています。

概要

ジッポーは、その高い耐久性、耐風性、そして永久修理保証によって、長年にわたり愛されてきました。1932年の創業以来、基本的な構造はほとんど変わっていませんが、外側のケースに様々な意匠を凝らすことで、豊富なバリエーションが生み出されています。そのため、世界中に熱心な収集家が存在します。

沿革

• - 1932年：ジョージ・グラント・ブレイズデルがジッポー・マニュファクチャリング・カンパニーを設立。
• - 1933年：初期型のジッポーを販売。
• - 1935年：ケンドール向け広告宣伝用ロゴ入りジッポーを製造し、ノベルティ路線を確立。
• - 1936年：ジッポーライターに関する最初の特許を取得。
• - その後、1937年モデル、1941年モデルと、時代に合わせてデザインを更新。
• - 1960年には通算1億個、1988年には2億個、1996年には3億個、そして2003年には4億個の製造を達成。
• - 2007年：フリント点火式ターボライター「ジッポー・ブルー」を発売。
• - 2012年：「ジッポー・ブルー2」を発売。
• - 2015年：「ジッポー・ブルー」シリーズの販売を終了。

ジッポーは、創業当初から企業のノベルティグッズとしての需要を開拓し、積極的に商品を提供してきました。そのため、様々な企業ロゴが入ったバリエーションが存在します。タバコ関連企業（マルボロ、キャメル）や、燃料の石油製品関連企業（ケンドール、ブリティッシュ・ペトロリアム）のロゴが入った製品が代表的です。

ジッポー社は、企業向けに「ヴェスト・ポケット・コンタクト」（ポケットの中のセールスマン）というパンフレットを作成し、自社製品が企業広告の媒体として有効であることをアピールしました。1992年の時点では、約40%が企業宣伝用の製品だったと言われています。過去には、ウォルト・ディズニー・プロダクションが提供していた例もありました。

1980年代には、禁煙運動の高まりから企業向けノベルティグッズの提供は廃止されました。また、ジッポー社は短期間ガスライター「コンテンポ」を販売したこともあります。2007年からはターボライター「ジッポー・ブルー」を販売しましたが、2015年末に製造・販売を終了しました。

起源

「ジッポー」の名称の由来には諸説あります。

• - 創業者ブレイズデルが、同時期に発明された「ジッパー（チャック）」をもじって名付けたという説。
• - ケースを開けて点火する際の擬音から着想を得たという説。

正確な起源は不明ですが、ブレイズデルが友人の使いにくいライターを見て、改良を決意したことが開発のきっかけになったと言われています。このエピソードは、パッケージのケースにある「It works！」の文字に込められています。

構造と特徴

ジッポーは、インサイドユニットとケースの2つの主要部分から構成されています。長年変わらない基本的な形状は、愛好家にとって魅力的な要素となっています。

• - インサイドユニット：綿球にオイルを吸収させ、芯にオイルを吸い上げ、フリントとフリントホイールの摩擦で火花を発生させて着火します。フタを閉めると酸欠で火が消えます。1941年以降のレギュラーサイズのジッポーライターでは、インサイドユニットは共通化されています。
• - ケース：インサイドユニットを収納する役割を果たします。底部のケースとフタはヒンジで結合されており、フタの内側には開閉音を出すための板が取り付けられています。ケースの材質は真鍮が基本で、表面にクロムメッキなどが施されます。金、銀、銅、チタンなどの素材が使われることもあります。

ケース底面には、1955年以降、製造年を判別するためのイヤーコードが刻印されています。

アメリカ軍との関係

ジッポーの普及には、アメリカ軍が深く関わっています。

第二次世界大戦中、米軍は「どこでも、どんな状況でも点火できる器具」を求めていました。ジッポーは、その高い耐風性、頑丈さ、修理の容易さから注目されました。軍はジッポー社にライターの納入を依頼し、兵士たちはジッポーを「GIの友」と呼び、愛用しました。

戦時中は真鍮が不足していたため、軍用ライターのケースには鉄が使用され、錆止めの塗装が施されました。このモデルは、通称「Black Crackle」と呼ばれました。

戦地で実証された耐久性の評判は、アメリカ軍兵士を通じて一般国民や諸外国にも広まり、ジッポーは「アメリカの豊かさと文化の象徴」として世界的なヒット商品となりました。

取扱方法

ジッポーは、オイルとフリントを切らさなければ、いつでもどこでも使用できます。

• - オイルの注入、フリントの交換は、インサイドユニットを引き抜いて行います。
• - 故障・破損した場合は、永久保証により無償修理を受けることができます（送料別）。

オイル

ジッポー社製の純正オイルが販売されていますが、他社のオイルも使用可能です。ただし、純正オイル以外を使用すると、着火性能の低下やオイルの持ちが悪くなるなどのトラブルが発生する可能性があります。

フリント（火打ち石）

ジッポーのフリントは、オーストリアのイムコ（IMCO）社互換品です。これは、ジッポー創業当時、IMCOがオイルライターの分野で事実上の世界標準規格になっていたためです。現在では、ジッポー純正のフリントが広く販売されています。

修理とカスタマイズ

ジッポーは「永久保証」を実践しており、故障品は無償で修理、または同等品と交換されます。

販売店やユーザーが外観のカスタマイズを行うこともあります。ただし、カスタマイズされた製品は永久保証の対象外となるため注意が必要です。

逸話と伝説

ジッポー社は、自社製ライターの強靭性などを説明するために、様々な広告を作成しました。その中には、都市伝説化しているものもあります。

• - 第二次世界大戦中、ドイツ軍の銃弾が胸ポケットに入れていたジッポーライターに当たり、兵士の命を救った。

ジッポーは、長年にわたり、多くの人々に愛され続けているオイルライターです。

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